浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0264A01: | 此佛金蓮の三部を。三業に配當するときも。蓮華部 |
J09_0264A02: | は口業に當る。口で云こと一切聲に出ることは。皆風な |
J09_0264A03: | り。爾れば。彌陀如來は。口業音聲の本尊なること明 |
J09_0264A04: | かなり。其上密家で。阿閦心。寶勝額。彌陀喉。釋迦 |
J09_0264A05: | 頂。四佛四處にあてて。加持することあるにも。彌陀 |
J09_0264A06: | 如來をば喉にあてて。喉は音聲の風を出すの本なれ |
J09_0264A07: | ば。風大所成と。風を司り玉ふ。彌陀如來を配當す |
J09_0264A08: | るなり。因玆淨土をも西方に構へ玉ふ。是亦風に當 |
J09_0264A09: | る方なれば。四季を四方に配當するに。春は東。夏 |
J09_0264A10: | は南。秋は西。冬は北なり。此通り西は秋に當り。 |
J09_0264A11: | 秋は則風の時なり。さるに依て。秋になると。風に |
J09_0264A12: | 聲がある故に。漢の武帝は秋風辭を作り。歐陽永叔 |
J09_0264A13: | は秋聲賦を作り。平の兼盛は。『秋來ぬと目にはさや |
J09_0264A14: | かに見へねとも。風の音にそ驚かれぬる』とよめり。 |
J09_0264A15: | 風は四季に吹といへども。風の時と云へば秋なり。 |
J09_0264A16: | 其秋に當る西故。西は風に當る方角なれば。西方に |
J09_0264A17: | 極樂淨土を構へ玉ふなり。さて此風と云が則壽なり |
J09_0264B18: | 其故は。先此世界建立の最初も。風輪生ぜしより起 |
J09_0264B19: | れば。世界の壽も風なり。風輪生して其上が水輪。水輪の上方凝りて金輪となり。其上が地輪 |
J09_0264B20: | なり。云云。風は世界の息と云。理あることなり。人の壽命の |
J09_0264B21: | 體は。何ぞと云に。息が壽命の體なり。其息とは何 |
J09_0264B22: | ぞや。風なり。此壽體の風大を司どり玉ふ如來なれ |
J09_0264B23: | ば。即ち無量壽佛と申奉る。故に又其淨土へ往生す |
J09_0264B24: | れば眷屬長壽の御願に報ふて。所化の衆生も。亦壽 |
J09_0264B25: | 命無量なれば。生死の縁は切れ果るなり。さて又風 |
J09_0264B26: | は聲の根元なる故に。彌陀如來は五智の中には。玅 |
J09_0264B27: | 觀察智とて。諸佛の説法を司どり玉ふ。是に因て。 |
J09_0264B28: | 構へ玉ふ所の極樂淨土には。寶樹にふるる風の聲。 |
J09_0264B29: | 八功德池の浪の音。汀に遊ふ諸鳥のいろ音。虚空に |
J09_0264B30: | かかる樂器の調べ迄が。皆悉く微玅甚深の法を説な |
J09_0264B31: | り。爾れば先佛體が如此風大所成にして。口業音聲 |
J09_0264B32: | を司どり玉ふことなれば。其佛の本願が。觀念であら |
J09_0264B33: | ふ筈はない。口に唱ふる聲の念佛て。なければなら |
J09_0264B34: | ぬ道理あきらかなることなり。さて又阿彌陀如來は。 |