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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0264A01: 此佛金蓮の三部を。三業に配當するときも。蓮華部
J09_0264A02: は口業に當る。口で云こと一切聲に出ることは。皆風な
J09_0264A03: り。爾れば。彌陀如來は。口業音聲の本尊なること明
J09_0264A04: かなり。其上密家で。阿閦。寶勝。彌陀。釋迦
J09_0264A05: 。四佛四處にあてて。加持することあるにも。彌陀
J09_0264A06: 如來をば喉にあてて。喉は音聲の風を出すの本なれ
J09_0264A07: ば。風大所成と。風を司り玉ふ。彌陀如來を配當す
J09_0264A08: るなり。因玆淨土をも西方に構へ玉ふ。是亦風に當
J09_0264A09: る方なれば。四季を四方に配當するに。春は東。夏
J09_0264A10: は南。秋は西。冬は北なり。此通り西は秋に當り。
J09_0264A11: 秋は則風の時なり。さるに依て。秋になると。風に
J09_0264A12: 聲がある故に。漢の武帝は秋風辭を作り。歐陽永叔
J09_0264A13: は秋聲賦を作り。平の兼盛は。『秋來ぬと目にはさや
J09_0264A14: かに見へねとも。風の音にそ驚かれぬる』とよめり。
J09_0264A15: 風は四季に吹といへども。風の時と云へば秋なり。
J09_0264A16: 其秋に當る西故。西は風に當る方角なれば。西方に
J09_0264A17: 極樂淨土を構へ玉ふなり。さて此風と云が則壽なり
J09_0264B18: 其故は。先此世界建立の最初も。風輪生ぜしより起
J09_0264B19: れば。世界の壽も風なり。風輪生して其上が水輪。水輪の上方凝りて金輪となり。其上が地輪
J09_0264B20: なり。云云。風は世界の息と云。理あることなり。人の壽命の
J09_0264B21: 體は。何ぞと云に。息が壽命の體なり。其息とは何
J09_0264B22: ぞや。風なり。此壽體の風大を司どり玉ふ如來なれ
J09_0264B23: ば。即ち無量壽佛と申奉る。故に又其淨土へ往生す
J09_0264B24: れば眷屬長壽の御願に報ふて。所化の衆生も。亦壽
J09_0264B25: 命無量なれば。生死の縁は切れ果るなり。さて又風
J09_0264B26: は聲の根元なる故に。彌陀如來は五智の中には。玅
J09_0264B27: 觀察智とて。諸佛の説法を司どり玉ふ。是に因て。
J09_0264B28: 構へ玉ふ所の極樂淨土には。寶樹にふるる風の聲。
J09_0264B29: 八功德池の浪の音。汀に遊ふ諸鳥のいろ音。虚空に
J09_0264B30: かかる樂器の調べ迄が。皆悉く微玅甚深の法を説な
J09_0264B31: り。爾れば先佛體が如此風大所成にして。口業音聲
J09_0264B32: を司どり玉ふことなれば。其佛の本願が。觀念であら
J09_0264B33: ふ筈はない。口に唱ふる聲の念佛て。なければなら
J09_0264B34: ぬ道理あきらかなることなり。さて又阿彌陀如來は。

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