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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0263A01: せしが。師の鬚髮ながくたれて。しかも顏貌異喜の
J09_0263A02: 色あるに驚きけると。師彼者に今日は何月何日なり
J09_0263A03: やと問玉へば。今日は佛涅槃の日なりと云故。指を
J09_0263A04: 折りてかぞへ給へば。富士山に在りて六ケ月を經玉
J09_0263A05: へりと夫より本の巖窟に歸り。從來は觀稱兩三昧を
J09_0263A06: 修せられしかども。是より後は觀佛を止めて。專修
J09_0263A07: 念佛し給へりとなり。人人此縁により。本願口稱念
J09_0263A08: 佛の。餘行に卓出することを見つべし。既に上人勇猛
J09_0263A09: 強盛の心を發して。觀念を凝し玉ひしかども。見佛
J09_0263A10: し玉ふことあたはず。さるに依て意樂を改轉して。必
J09_0263A11: 死の覺悟に住し。口稱念佛し給ひければ。富士山に
J09_0263A12: 倍する計なる。大身の如來を拜し給ふ。是何故なれ
J09_0263A13: ば。觀念は佛の本願の行ならざる故に。滅罪の邊も
J09_0263A14: 劣り。加被護念の方もこまやかならず。口稱念佛は。
J09_0263A15: 如來本願の正定業なれば。滅罪も勝れ。如被護念も
J09_0263A16: 深重に在す故。速に見佛し給へるものなり。此現證
J09_0263A17: を以。今大師の觀念の念にもあらずとゑらび拂ふて。
J09_0263B18: 本願口稱の義を成立し給ふの御義を。信受すべきな
J09_0263B19: り。次に約佛體本願口稱の正義を顯す義を辨ぜ
J09_0263B20: ば。直に如來の尊體に就て顯すの義なり。是は密家
J09_0263B21: の所談に。寄せ合せて談ずることなれば。其意を得て
J09_0263B22: 聞べし。先阿彌陀如來の種字の字は。〓〓〓〓の
J09_0263B23: 四字を。合成したる字にして。其體となるは字に
J09_0263B24: て。字は則因業不可得にして風なり。古人の歌に
J09_0263B25: 『からいあく四字合成の風吹てきりくもはれて彌陀
J09_0263B26: ぞ見へける』と。爾れば先彌陀は。風大所成とて。
J09_0263B27: 風を體とし玉ふ佛なれば。密家にて佛部金剛部蓮華
J09_0263B28: 部と立る。三部の中にも。阿彌陀如來をは。蓮華部
J09_0263B29: の如來と習ふ。其故はと云に。一切諸佛及び衆生の
J09_0263B30: 法性は。蓮華の如くにて。此八葉の心蓮の開くるが。
J09_0263B31: 則成等正覺なり。世間の蓮の開くも。正しくは風に
J09_0263B32: よる。如其心蓮を開くことは。正しく風大所成。蓮華
J09_0263B33: 部の敎主阿彌陀如來なり。故に經般舟經取意三世諸佛皆
J09_0263B34: 依念佛三昧成正覺等と説き玉へる。此意なり。又

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