浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0263A01: | せしが。師の鬚髮ながくたれて。しかも顏貌異喜の |
J09_0263A02: | 色あるに驚きけると。師彼者に今日は何月何日なり |
J09_0263A03: | やと問玉へば。今日は佛涅槃の日なりと云故。指を |
J09_0263A04: | 折りてかぞへ給へば。富士山に在りて六ケ月を經玉 |
J09_0263A05: | へりと夫より本の巖窟に歸り。從來は觀稱兩三昧を |
J09_0263A06: | 修せられしかども。是より後は觀佛を止めて。專修 |
J09_0263A07: | 念佛し給へりとなり。人人此縁により。本願口稱念 |
J09_0263A08: | 佛の。餘行に卓出することを見つべし。既に上人勇猛 |
J09_0263A09: | 強盛の心を發して。觀念を凝し玉ひしかども。見佛 |
J09_0263A10: | し玉ふことあたはず。さるに依て意樂を改轉して。必 |
J09_0263A11: | 死の覺悟に住し。口稱念佛し給ひければ。富士山に |
J09_0263A12: | 倍する計なる。大身の如來を拜し給ふ。是何故なれ |
J09_0263A13: | ば。觀念は佛の本願の行ならざる故に。滅罪の邊も |
J09_0263A14: | 劣り。加被護念の方もこまやかならず。口稱念佛は。 |
J09_0263A15: | 如來本願の正定業なれば。滅罪も勝れ。如被護念も |
J09_0263A16: | 深重に在す故。速に見佛し給へるものなり。此現證 |
J09_0263A17: | を以。今大師の觀念の念にもあらずとゑらび拂ふて。 |
J09_0263B18: | 本願口稱の義を成立し給ふの御義を。信受すべきな |
J09_0263B19: | り。次に約佛體本願口稱の正義を顯す義を辨ぜ |
J09_0263B20: | ば。直に如來の尊體に就て顯すの義なり。是は密家 |
J09_0263B21: | の所談に。寄せ合せて談ずることなれば。其意を得て |
J09_0263B22: | 聞べし。先阿彌陀如來の種字の梵字は。〓〓〓〓の |
J09_0263B23: | 四字を。合成したる字にして。其體となるは梵字に |
J09_0263B24: | て。梵字は則因業不可得にして風なり。古人の歌に |
J09_0263B25: | 『からいあく四字合成の風吹てきりくもはれて彌陀 |
J09_0263B26: | ぞ見へける』と。爾れば先彌陀は。風大所成とて。 |
J09_0263B27: | 風を體とし玉ふ佛なれば。密家にて佛部金剛部蓮華 |
J09_0263B28: | 部と立る。三部の中にも。阿彌陀如來をは。蓮華部 |
J09_0263B29: | の如來と習ふ。其故はと云に。一切諸佛及び衆生の |
J09_0263B30: | 法性は。蓮華の如くにて。此八葉の心蓮の開くるが。 |
J09_0263B31: | 則成等正覺なり。世間の蓮の開くも。正しくは風に |
J09_0263B32: | よる。如其心蓮を開くことは。正しく風大所成。蓮華 |
J09_0263B33: | 部の敎主阿彌陀如來なり。故に經般舟經取意三世諸佛皆 |
J09_0263B34: | 依念佛三昧成正覺等と説き玉へる。此意なり。又 |