浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0261A01: | と云云。頌義廿四の五丁已下。經説を引。見つべし。爾れば觀稱に通するの義は。 |
J09_0261A02: | 一願兩體の失あるが故に。決して用られざるの義趣。 |
J09_0261A03: | 能能領納すべし。猶此本願念佛觀念でなく。稱名に |
J09_0261A04: | 局ると云こと。初心も心得易くして。而も深義の顯は |
J09_0261A05: | るる二義あれば。是を示さん。一には約本願素意 |
J09_0261A06: | 二には約佛體此二義あるときに。先本願の素意に |
J09_0261A07: | 約すれば。何として觀念でなひぞと云に。佛願發起 |
J09_0261A08: | の本へ立還て見れば。直に知れるなり。先此彌陀如 |
J09_0261A09: | 來の本願と云は。法藏因位の昔し。同體の悟りより。 |
J09_0261A10: | 平等の大悲に催されて。建て玉ひたる本願にて。機 |
J09_0261A11: | に善惡の簡びなく。廣く十方衆生と。誓ひ玉ひたる |
J09_0261A12: | ことなれば。其目がけ玉ふ所の衆生の。つとまる行を。 |
J09_0261A13: | 本願とし玉はねばならぬことなり。爾るに其本願は。 |
J09_0261A14: | 觀念じやと云になれば。十方衆生と云中に。つとまら |
J09_0261A15: | ぬ人のみが多くて平等には行きわたらぬ。先觀念は。 |
J09_0261A16: | 無相絶色の法身觀は。もとより。たとひ事相の色相 |
J09_0261A17: | 觀でも生盲と云て。生れ付の目くらの。佛像を拜ん |
J09_0261B18: | だとのなひ者は。たとひ利根でもつとまらず。又兩 |
J09_0261B19: | 眼は明かでも。妄念異念のおさまらぬ人は。つとま |
J09_0261B20: | らぬなり。是では廣く押出して。十方衆生と誓ひ玉 |
J09_0261B21: | ひても。機法不合で。其利益はなきなり。爾るに稱 |
J09_0261B22: | 名は。十方衆生人えらびなく。誰でもつとまる。 |
J09_0261B23: | 但し。稱名つとめぬ人あるは。機の失と云ふもので。勤まらぬではなひ。つとめぬなり。斯く本願の素意に |
J09_0261B24: | 立還て見よ。本願念佛と云は。觀念ではない。稱名 |
J09_0261B25: | 念佛に局るの道理。極成するに非や。猶一つの現證 |
J09_0261B26: | を示さば。往時大原の澄禪上人。相州塔の峰阿彌陀 |
J09_0261B27: | 寺の靈窟彈誓上人練行の舊跡にありて。修行し給ひし頃。一日富 |
J09_0261B28: | 士山を遠望し給ひしが。心中に思へらく。誠に富士 |
J09_0261B29: | は。三國無雙の靈山。我此山を。極樂淨土の百寶蓮華 |
J09_0261B30: | になぞらへ。此山に相應せる。大身の阿彌陀如來を。 |
J09_0261B31: | 瞻仰し奉らばやと云願心。涌くが如に發りければ。夫 |
J09_0261B32: | より直に發足して。彼山に登り。富士へ登るは六月に局りて。餘の月には登る人な |
J09_0261B33: | し。是高山にて雪深ければなり。西方に向ひ端坐し。如法に思ひを凝し |
J09_0261B34: | て。佛身觀を修し給ふ時。九月中旬の頃なれば。雪い |