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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0261A01: 云云頌義廿四の五丁已下。經説を引。見つべし。爾れば觀稱に通するの義は。
J09_0261A02: 一願兩體の失あるが故に。決して用られざるの義趣。
J09_0261A03: 能能領納すべし。猶此本願念佛觀念でなく。稱名に
J09_0261A04: 局ると云こと。初心も心得易くして。而も深義の顯は
J09_0261A05: るる二義あれば。是を示さん。一には約本願素意
J09_0261A06: 二には約佛體此二義あるときに。先本願の素意に
J09_0261A07: 約すれば。何として觀念でなひぞと云に。佛願發起
J09_0261A08: の本へ立還て見れば。直に知れるなり。先此彌陀如
J09_0261A09: 來の本願と云は。法藏因位の昔し。同體の悟りより。
J09_0261A10: 平等の大悲に催されて。建て玉ひたる本願にて。機
J09_0261A11: に善惡の簡びなく。廣く十方衆生と。誓ひ玉ひたる
J09_0261A12: ことなれば。其目がけ玉ふ所の衆生の。つとまる行を。
J09_0261A13: 本願とし玉はねばならぬことなり。爾るに其本願は。
J09_0261A14: 觀念じやと云になれば。十方衆生と云中に。つとまら
J09_0261A15: ぬ人のみが多くて平等には行きわたらぬ。先觀念は。
J09_0261A16: 無相絶色の法身觀は。もとより。たとひ事相の色相
J09_0261A17: 觀でも生盲と云て。生れ付の目くらの。佛像を拜ん
J09_0261B18: だとのなひ者は。たとひ利根でもつとまらず。又兩
J09_0261B19: 眼は明かでも。妄念異念のおさまらぬ人は。つとま
J09_0261B20: らぬなり。是では廣く押出して。十方衆生と誓ひ玉
J09_0261B21: ひても。機法不合で。其利益はなきなり。爾るに稱
J09_0261B22: 名は。十方衆生人えらびなく。誰でもつとまる。
J09_0261B23: 但し。稱名つとめぬ人あるは。機の失と云ふもので。勤まらぬではなひ。つとめぬなり。斯く本願の素意に
J09_0261B24: 立還て見よ。本願念佛と云は。觀念ではない。稱名
J09_0261B25: 念佛に局るの道理。極成するに非や。猶一つの現證
J09_0261B26: を示さば。往時大原の澄禪上人。相州塔の峰阿彌陀
J09_0261B27: 寺の靈窟彈誓上人練行の舊跡にありて。修行し給ひし頃。一日富
J09_0261B28: 士山を遠望し給ひしが。心中に思へらく。誠に富士
J09_0261B29: は。三國無雙の靈山。我此山を。極樂淨土の百寶蓮華
J09_0261B30: になぞらへ。此山に相應せる。大身の阿彌陀如來を。
J09_0261B31: 瞻仰し奉らばやと云願心。涌くが如に發りければ。夫
J09_0261B32: より直に發足して。彼山に登り。富士へ登るは六月に局りて。餘の月には登る人な
J09_0261B33: し。是高山にて雪深ければなり。西方に向ひ端坐し。如法に思ひを凝し
J09_0261B34: て。佛身觀を修し給ふ時。九月中旬の頃なれば。雪い

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