浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0256A01: | ならばさもあるべきことなれども。已に智者達なり。 |
J09_0256A02: | 釋門の龍象。緇林の鸞鳳と云はるる。高僧方なれば。 |
J09_0256A03: | 見立易きことなれば。誤り玉ふ筈はなきなり。又觀念 |
J09_0256A04: | と見違へ玉ふにも。其理なくてはかなはず。此こと經 |
J09_0256A05: | 文の上で。其道理を穿議するに。念聲是一の法門と |
J09_0256A06: | て。一則の論題にして容易のことに非。下にて談ずべ |
J09_0256A07: | し。先今は經釋を離れて。考へて見るべし。顯れ難 |
J09_0256A08: | 筈なり。大器は遲く成ずるの道理にて。若し此本願 |
J09_0256A09: | は。口稱ぞと云正意が顯はるれは。誰でも往生遂ら |
J09_0256A10: | れぬと云者はなく。實に萬機普益。微玅最上の法門 |
J09_0256A11: | なれば。顯はれ難きはづなり。又此本願が。觀念に |
J09_0256A12: | 紛れて。口稱の正意の隱れてある内はつとまる者は |
J09_0256A13: | 至て少く。順次往生などど云ことは。甚とげ難きことな |
J09_0256A14: | り。此違ひ目。天地黑白も譬とならず。爾るに。元祖 |
J09_0256A15: | 大師の御出世に依て。本願念佛口稱ぞと云。正意の |
J09_0256A16: | 顯はれたるは。日本開闢已來。例しなき吉祥の顯は |
J09_0256A17: | れしと云ものなり。總してよきと云ことは。小事でさ |
J09_0256B18: | へも顯はれ兼ること。彼卞和が璧の如云云。まして况本 |
J09_0256B19: | 願口稱の正意が顯はれては。十惡五逆の大罪人。五 |
J09_0256B20: | 障三從の女人迄。唱れば皆悉く往生遂ると云。大吉祥 |
J09_0256B21: | のことなれば。古來の智者の御了簡に。見ひらき玉ふ |
J09_0256B22: | ことならずして。觀念が勝るるの。觀稱に通ずるのと |
J09_0256B23: | 云位のことにして。大悲本願の深旨。顯はれぬことなれ |
J09_0256B24: | ば。見るに見兼て。彌陀如來が唐土へは。善導大師 |
J09_0256B25: | とあらはれ。勢至菩薩は我朝へ。圓光大師と埀迹し |
J09_0256B26: | て。本願の念佛は。口稱ぞと云正意を示し玉へるな |
J09_0256B27: | り。爾れば人人。如此顯はれ難かりし。本願の正意 |
J09_0256B28: | を聞得て順次决定往生する身の上となりしことを。つ |
J09_0256B29: | くづくと思ひやりて。歡喜稱名すべきなり。爾れば |
J09_0256B30: | 上來所談の畢竟は。本願の念佛は。觀念に非と。一 |
J09_0256B31: | 切心の所作にわたる念佛の分は。殘らず拂ひのけ玉 |
J09_0256B32: | ふた所じやと得心して。濃くも薄くも。往生遂たい |
J09_0256B33: | と云心だにあれは。其上は唯分分に唱ふる計で。訖 |
J09_0256B34: | 度往生遂らると云ことを。ゆるぎなく思ひ定むべきな |