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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0256A01: ならばさもあるべきことなれども。已に智者達なり。
J09_0256A02: 釋門の龍象。緇林の鸞鳳と云はるる。高僧方なれば。
J09_0256A03: 見立易きことなれば。誤り玉ふ筈はなきなり。又觀念
J09_0256A04: と見違へ玉ふにも。其理なくてはかなはず。此こと經
J09_0256A05: 文の上で。其道理を穿議するに。念聲是一の法門と
J09_0256A06: て。一則の論題にして容易のことに非。下にて談ずべ
J09_0256A07: し。先今は經釋を離れて。考へて見るべし。顯れ難
J09_0256A08: 筈なり。大器は遲く成ずるの道理にて。若し此本願
J09_0256A09: は。口稱ぞと云正意が顯はるれは。誰でも往生遂ら
J09_0256A10: れぬと云者はなく。實に萬機普益。微玅最上の法門
J09_0256A11: なれば。顯はれ難きはづなり。又此本願が。觀念に
J09_0256A12: 紛れて。口稱の正意の隱れてある内はつとまる者は
J09_0256A13: 至て少く。順次往生などど云ことは。甚とげ難きことな
J09_0256A14: り。此違ひ目。天地黑白も譬とならず。爾るに。元祖
J09_0256A15: 大師の御出世に依て。本願念佛口稱ぞと云。正意の
J09_0256A16: 顯はれたるは。日本開闢已來。例しなき吉祥の顯は
J09_0256A17: れしと云ものなり。總してよきと云ことは。小事でさ
J09_0256B18: へも顯はれ兼ること。彼卞和が璧の如云云。まして况本
J09_0256B19: 願口稱の正意が顯はれては。十惡五逆の大罪人。五
J09_0256B20: 障三從の女人迄。唱れば皆悉く往生遂ると云。大吉祥
J09_0256B21: のことなれば。古來の智者の御了簡に。見ひらき玉ふ
J09_0256B22: ことならずして。觀念が勝るるの。觀稱に通ずるのと
J09_0256B23: 云位のことにして。大悲本願の深旨。顯はれぬことなれ
J09_0256B24: ば。見るに見兼て。彌陀如來が唐土へは。善導大師
J09_0256B25: とあらはれ。勢至菩薩は我朝へ。圓光大師と埀迹し
J09_0256B26: て。本願の念佛は。口稱ぞと云正意を示し玉へるな
J09_0256B27: り。爾れば人人。如此顯はれ難かりし。本願の正意
J09_0256B28: を聞得て順次决定往生する身の上となりしことを。つ
J09_0256B29: くづくと思ひやりて。歡喜稱名すべきなり。爾れば
J09_0256B30: 上來所談の畢竟は。本願の念佛は。觀念に非と。一
J09_0256B31: 切心の所作にわたる念佛の分は。殘らず拂ひのけ玉
J09_0256B32: ふた所じやと得心して。濃くも薄くも。往生遂たい
J09_0256B33: と云心だにあれは。其上は唯分分に唱ふる計で。訖
J09_0256B34: 度往生遂らると云ことを。ゆるぎなく思ひ定むべきな

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