浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0255A01: | 智者達が。本願の念佛を。觀念と云はれたれども。 |
J09_0255A02: | 夫れは心得違ひ。全くさうではないと。拂却し給ふ。 |
J09_0255A03: | 是が第三本文の下に。五科ある第一揀謬解科の下 |
J09_0255A04: | に。亦二科ある。觀念の謬解をえらび給ふの科なり。 |
J09_0255A05: | 夫阿彌陀佛の本願は口稱念佛と云こと。善導大師より |
J09_0255A06: | 開けて。其餘和漢兩朝の諸師達には。此分別なき故。 |
J09_0255A07: | 通途の道理によりて。觀念は勝れ。口稱は劣ると。 |
J09_0255A08: | 存し給へり。さて其觀念と云に。事理の二觀あり。 |
J09_0255A09: | 其理觀と云に。亦二つありて。自身即佛の理性を觀 |
J09_0255A10: | ずるは。聖道門の理觀なり。又起信論の修行信心分 |
J09_0255A11: | に。彌陀の眞如法身を觀じて。往生することを明し給 |
J09_0255A12: | へるは。淨土門の理觀なり。事觀にも亦二つあり。 |
J09_0255A13: | 一切諸佛の依正二報を觀ずるは。聖道門の事觀なり。 |
J09_0255A14: | 又觀經及び觀念法門等によりて。十三定善總相別相 |
J09_0255A15: | 等を觀じて。往生を願ふは。淨土門の事觀なり。此 |
J09_0255A16: | 事理の二觀も。上根上智ならば。其利益あるべけれ |
J09_0255A17: | ども。三學無分の下機。一時煩惱百千間の凡夫。爭 |
J09_0255B18: | でか此觀念を成ずることを得んや。故に彌陀如來。萬 |
J09_0255B19: | 機普益。別途大悲の。口稱本願を立給へり。されば |
J09_0255B20: | 大師。此事理の觀念を拂ひて。口稱本願の義を示し |
J09_0255B21: | 給ふ。御法語あれば示すべし。和語燈錄四の卷昔法藏ぼさつ。 |
J09_0255B22: | 四十八の大願を發し給ふ中に。一切衆生の往生の爲 |
J09_0255B23: | に一の願を發し給ふ。是を念佛往生の本願と申なり。 |
J09_0255B24: | 念佛といふは。佛の法身を憶念するにもあらず。又 |
J09_0255B25: | 佛の相好を觀ずにもあらず。ただ心をいたして專ら |
J09_0255B26: | 阿彌陀佛の名號を稱念する。是を念佛とは申なり已上 |
J09_0255B27: | 今に合せて考べし。所詮を云へば。唐土では。善導 |
J09_0255B28: | 大師より已前。我朝では。元祖大師より已前は。本 |
J09_0255B29: | 願口稱の正意が。とくと顯はれなんだに依て。もろ |
J09_0255B30: | こし我朝に乃至念にもあらずと。先觀念の水を捨玉ひ |
J09_0255B31: | しものなり。是に就ても。人人本願の正意は。口稱 |
J09_0255B32: | の念佛と云ことを。聞得たる人は。等閑に思ふべから |
J09_0255B33: | ず。其故は。是至て顯はれ難きことなり。故に和漢兩 |
J09_0255B34: | 朝の智者達が。皆顯し玉ふことならざりしなり。愚者 |