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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0255A01: 智者達が。本願の念佛を。觀念と云はれたれども。
J09_0255A02: 夫れは心得違ひ。全くさうではないと。拂却し給ふ。
J09_0255A03: 是が第三本文の下に。五科ある第一揀謬解科の下
J09_0255A04: に。亦二科ある。觀念の謬解をえらび給ふの科なり。
J09_0255A05: 夫阿彌陀佛の本願は口稱念佛と云こと。善導大師より
J09_0255A06: 開けて。其餘和漢兩朝の諸師達には。此分別なき故。
J09_0255A07: 通途の道理によりて。觀念は勝れ。口稱は劣ると。
J09_0255A08: 存し給へり。さて其觀念と云に。事理の二觀あり。
J09_0255A09: 其理觀と云に。亦二つありて。自身即佛の理性を觀
J09_0255A10: ずるは。聖道門の理觀なり。又起信論の修行信心分
J09_0255A11: に。彌陀の眞如法身を觀じて。往生することを明し給
J09_0255A12: へるは。淨土門の理觀なり。事觀にも亦二つあり。
J09_0255A13: 一切諸佛の依正二報を觀ずるは。聖道門の事觀なり。
J09_0255A14: 又觀經及び觀念法門等によりて。十三定善總相別相
J09_0255A15: 等を觀じて。往生を願ふは。淨土門の事觀なり。此
J09_0255A16: 事理の二觀も。上根上智ならば。其利益あるべけれ
J09_0255A17: ども。三學無分の下機。一時煩惱百千間の凡夫。爭
J09_0255B18: でか此觀念を成ずることを得んや。故に彌陀如來。萬
J09_0255B19: 機普益。別途大悲の。口稱本願を立給へり。されば
J09_0255B20: 大師。此事理の觀念を拂ひて。口稱本願の義を示し
J09_0255B21: 給ふ。御法語あれば示すべし。和語燈錄四の卷昔法藏ぼさつ。
J09_0255B22: 四十八の大願を發し給ふ中に。一切衆生の往生の爲
J09_0255B23: に一の願を發し給ふ。是を念佛往生の本願と申なり。
J09_0255B24: 念佛といふは。佛の法身を憶念するにもあらず。又
J09_0255B25: 佛の相好を觀ずにもあらず。ただ心をいたして專ら
J09_0255B26: 阿彌陀佛の名號を稱念する。是を念佛とは申なり已上
J09_0255B27: 今に合せて考べし。所詮を云へば。唐土では。善導
J09_0255B28: 大師より已前。我朝では。元祖大師より已前は。本
J09_0255B29: 願口稱の正意が。とくと顯はれなんだに依て。もろ
J09_0255B30: こし我朝に乃至念にもあらずと。先觀念の水を捨玉ひ
J09_0255B31: しものなり。是に就ても。人人本願の正意は。口稱
J09_0255B32: の念佛と云ことを。聞得たる人は。等閑に思ふべから
J09_0255B33: ず。其故は。是至て顯はれ難きことなり。故に和漢兩
J09_0255B34: 朝の智者達が。皆顯し玉ふことならざりしなり。愚者

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