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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0254A01: て。もろこし我朝に諸の智者逹のと。震旦日本計り
J09_0254A02: を。擧げ玉ひたるなり。
J09_0254A03: さたし申さるる。此さたと云に二解あり。一解には
J09_0254A04: 沙汰の字音を用ゆ。杜子美が上韋左相詩沙汰江河
J09_0254A05: 濁と云を。註に以篩貯砂去其細存其大曰沙
J09_0254A06: 汰と云へり。又晋書に出る。孫綽と習鑿齒とは博學
J09_0254A07: にして而も。二人共に通卒なりしが。或時二人連れ
J09_0254A08: て行とき。先きに行孫綽。習鑿齒を顧て。沙之汰
J09_0254A09: 之瓧礫在後と云ければ鑿齒直に。簸之颺之糠
J09_0254A10: 粃在前と答へたるとあり。是等は皆ゆりそろゆると
J09_0254A11: 云意にて。物をゑり分けて。惡きを捨。好きを取と云
J09_0254A12: 義なり。又一説とは。加茂眞淵が云。さたはさだな
J09_0254A13: り。古は字音を用ゆることなし。決斷所を。さだのに
J09_0254A14: はと云意にて定し申さるるの義なりと云へり。げに
J09_0254A15: 和語は字音を用ゆることは。古代にはなきことにて。皆
J09_0254A16: 後世のことなり。されども一槪に心得べからず。若し
J09_0254A17: 本書。後世の意にてしるせしを。古意を以解すとき
J09_0254B18: は。其義を誤ることあり。是鄙諺に。角を直さんとて
J09_0254B19: 牛を殺せしと云如し。されば。眞淵が三部の言釋に。
J09_0254B20: 本文の意に違ひしことあり。向阿上人は。古語の一轉
J09_0254B21: したる。中古の詞を。間間用ひ給へるを。偏に古意
J09_0254B22: にて解したる故なり。さて斯く二解あるときに。大
J09_0254B23: 師は何れの義を用ひ給ふと云ことは。定め難けれども。
J09_0254B24: 二解ともに。義に於て違ふことなし。其所以は。字音
J09_0254B25: の方は。物をゆりそろへて。惡きを捨。好きを取る
J09_0254B26: 義なれば和漢兩朝の古師の口稱は劣ると捨。觀念義
J09_0254B27: 解の念佛はよきと。ゑり取られたるは誤りと。拂ひ
J09_0254B28: 給ふの義なり。又さだの方は。決斷所にて善惡を定
J09_0254B29: むる如く。古來の諸師は。念佛と云を口稱と云はあ
J09_0254B30: しし。觀念義解は善しと。定せられしは誤りと。拂
J09_0254B31: ひ給ふ義なれば。是も亦違ふことなし。爾れは二解は。
J09_0254B32: 唯字音を用ゆると。古意に隨ふとの別にして。義に
J09_0254B33: 於ては。二義一致。差別あることなしと知るべし
J09_0254B34: 觀念の念にもあらず。古來和漢兩朝に於て。多くの

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