浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0254A01: | て。もろこし我朝に諸の智者逹のと。震旦日本計り |
J09_0254A02: | を。擧げ玉ひたるなり。 |
J09_0254A03: | さたし申さるる。此さたと云に二解あり。一解には |
J09_0254A04: | 沙汰の字音を用ゆ。杜子美が上韋左相詩沙汰江河 |
J09_0254A05: | 濁と云を。註に以篩貯砂去其細存其大曰沙 |
J09_0254A06: | 汰と云へり。又晋書に出る。孫綽と習鑿齒とは博學 |
J09_0254A07: | にして而も。二人共に通卒なりしが。或時二人連れ |
J09_0254A08: | て行とき。先きに行孫綽。習鑿齒を顧て。沙之汰 |
J09_0254A09: | 之瓧礫在後と云ければ鑿齒直に。簸之颺之糠 |
J09_0254A10: | 粃在前と答へたるとあり。是等は皆ゆりそろゆると |
J09_0254A11: | 云意にて。物をゑり分けて。惡きを捨。好きを取と云 |
J09_0254A12: | 義なり。又一説とは。加茂眞淵が云。さたはさだな |
J09_0254A13: | り。古は字音を用ゆることなし。決斷所を。さだのに |
J09_0254A14: | はと云意にて定し申さるるの義なりと云へり。げに |
J09_0254A15: | 和語は字音を用ゆることは。古代にはなきことにて。皆 |
J09_0254A16: | 後世のことなり。されども一槪に心得べからず。若し |
J09_0254A17: | 本書。後世の意にてしるせしを。古意を以解すとき |
J09_0254B18: | は。其義を誤ることあり。是鄙諺に。角を直さんとて |
J09_0254B19: | 牛を殺せしと云如し。されば。眞淵が三部の言釋に。 |
J09_0254B20: | 本文の意に違ひしことあり。向阿上人は。古語の一轉 |
J09_0254B21: | したる。中古の詞を。間間用ひ給へるを。偏に古意 |
J09_0254B22: | にて解したる故なり。さて斯く二解あるときに。大 |
J09_0254B23: | 師は何れの義を用ひ給ふと云ことは。定め難けれども。 |
J09_0254B24: | 二解ともに。義に於て違ふことなし。其所以は。字音 |
J09_0254B25: | の方は。物をゆりそろへて。惡きを捨。好きを取る |
J09_0254B26: | 義なれば和漢兩朝の古師の口稱は劣ると捨。觀念義 |
J09_0254B27: | 解の念佛はよきと。ゑり取られたるは誤りと。拂ひ |
J09_0254B28: | 給ふの義なり。又さだの方は。決斷所にて善惡を定 |
J09_0254B29: | むる如く。古來の諸師は。念佛と云を口稱と云はあ |
J09_0254B30: | しし。觀念義解は善しと。定せられしは誤りと。拂 |
J09_0254B31: | ひ給ふ義なれば。是も亦違ふことなし。爾れは二解は。 |
J09_0254B32: | 唯字音を用ゆると。古意に隨ふとの別にして。義に |
J09_0254B33: | 於ては。二義一致。差別あることなしと知るべし |
J09_0254B34: | 觀念の念にもあらず。古來和漢兩朝に於て。多くの |