浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0253A01: | 天竺を省き。本願の梵本を。中華の文字に。十念と |
J09_0253A02: | 翻譯してより後に。稱名を觀念と云の謬りは發ること |
J09_0253A03: | なれば。唐土我朝のみを擧玉いたるなり。先一往天 |
J09_0253A04: | 竺を省き玉ひし。わけはしれたり。而して亦此上に |
J09_0253A05: | 穿議があるなり。難して云。文隨執見隱義逐機 |
J09_0253A06: | 根現二敎論の文天竺佛生根元の國なりといへども。何ぞ |
J09_0253A07: | 謬りなからん。故に小乘二十部の分派と云。 |
J09_0253A08: | 根本上座。崛内五百人迦葉等大衆崛外五百人の二部より。五部。十 |
J09_0253A09: | 八部。二十部と分る云云 |
J09_0253A10: | 戒賢智光空有の論等あり。 |
J09_0253A11: | 戒賢論師は。有相大乘。法相の祖師。依經は深密。 |
J09_0253A12: | 依論は瑜伽等。彌勒より受け。護法難陀より繼き。 |
J09_0253A13: | 智光論師は。無相大乘。三論の祖師。依經は妙智。 |
J09_0253A14: | 依論は中觀等。文殊龍樹より受け。淸目淸辨より |
J09_0253A15: | 繼く。 |
J09_0253A16: | 爾らば一槪に。異義なしと云はんやと云に。彼二十 |
J09_0253A17: | 部の各各に執見を立てしは。律文廣き故。我執す |
J09_0253B18: | る所に本とづきて。餘文を會通する故に。其派數數 |
J09_0253B19: | に分れしなり。又戒賢智光等の論は。依經依論。已 |
J09_0253B20: | に各別にして。一經一論に依て發るには非。應病與 |
J09_0253B21: | 藥の法門なれば。有相の機分は。其法門を了義とし。 |
J09_0253B22: | 餘敎を不了義とす。無相の機も亦爾り。是等の異義 |
J09_0253B23: | を例として。今も難ずべき道理はなきことなり。其上 |
J09_0253B24: | 此本願念佛を。觀念と云稱名と云論は。唯和漢兩朝 |
J09_0253B25: | のみにして天竺にあることなし。若し天竺に於ては。 |
J09_0253B26: | 本願念佛を異義なく。一同に稱名と。存知し玉へる |
J09_0253B27: | と云には。其證據あり。高僧傳曰慧日三藏巡歷諸三 |
J09_0253B28: | 藏問曰何國有樂無苦三藏答曰有樂無苦極樂也 |
J09_0253B29: | 易行易修見佛念佛一行也云云。既に天竺の三藏達易 |
J09_0253B30: | 行易修は。念佛の一行とあるからは。明かに稱名念佛 |
J09_0253B31: | にして。觀念理解に非ず。若し觀念や理解の念佛なれ |
J09_0253B32: | ば。難行難修なり。夫れを易行易修と仰せらるるか |
J09_0253B33: | らは。天竺の智者達は。本願念佛は口稱と云に。異 |
J09_0253B34: | 論なき證據なり。斯云道理ある故に。天竺をは除ひ |