ウィンドウを閉じる

J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0253A01: 天竺を省き。本願の梵本を。中華の文字に。十念と
J09_0253A02: 翻譯してより後に。稱名を觀念と云の謬りは發ること
J09_0253A03: なれば。唐土我朝のみを擧玉いたるなり。先一往天
J09_0253A04: 竺を省き玉ひし。わけはしれたり。而して亦此上に
J09_0253A05: 穿議があるなり。難して云。文隨執見隱義逐機
J09_0253A06: 根現二敎論の文天竺佛生根元の國なりといへども。何ぞ
J09_0253A07: 謬りなからん。故に小乘二十部の分派と云。
J09_0253A08: 根本上座。崛内五百人迦葉等大衆崛外五百人の二部より。五部。十
J09_0253A09: 八部。二十部と分る云云
J09_0253A10: 戒賢智光空有の論等あり。
J09_0253A11: 戒賢論師は。有相大乘。法相の祖師。依經は深密。
J09_0253A12: 依論は瑜伽等。彌勒より受け。護法難陀より繼き。
J09_0253A13: 智光論師は。無相大乘。三論の祖師。依經は妙智。
J09_0253A14: 依論は中觀等。文殊龍樹より受け。淸目淸辨より
J09_0253A15: 繼く。
J09_0253A16: 爾らば一槪に。異義なしと云はんやと云に。彼二十
J09_0253A17: 部の各各に執見を立てしは。律文廣き故。我執す
J09_0253B18: る所に本とづきて。餘文を會通する故に。其派數數
J09_0253B19: に分れしなり。又戒賢智光等の論は。依經依論。已
J09_0253B20: に各別にして。一經一論に依て發るには非。應病與
J09_0253B21: 藥の法門なれば。有相の機分は。其法門を了義とし。
J09_0253B22: 餘敎を不了義とす。無相の機も亦爾り。是等の異義
J09_0253B23: を例として。今も難ずべき道理はなきことなり。其上
J09_0253B24: 此本願念佛を。觀念と云稱名と云論は。唯和漢兩朝
J09_0253B25: のみにして天竺にあることなし。若し天竺に於ては。
J09_0253B26: 本願念佛を異義なく。一同に稱名と。存知し玉へる
J09_0253B27: と云には。其證據あり。高僧傳曰慧日三藏巡歷諸三
J09_0253B28: 藏問曰何國有樂無苦三藏答曰有樂無苦極樂也
J09_0253B29: 易行易修見佛念佛一行也云云。既に天竺の三藏達易
J09_0253B30: 行易修は。念佛の一行とあるからは。明かに稱名念佛
J09_0253B31: にして。觀念理解に非ず。若し觀念や理解の念佛なれ
J09_0253B32: ば。難行難修なり。夫れを易行易修と仰せらるるか
J09_0253B33: らは。天竺の智者達は。本願念佛は口稱と云に。異
J09_0253B34: 論なき證據なり。斯云道理ある故に。天竺をは除ひ

ウィンドウを閉じる