浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0252A01: | 説にも非と見へたれども。正訓は諸越にて。帝都に |
J09_0252A02: | 遠く隔りたる邊鄙と云の義と見へたり。又我國より |
J09_0252A03: | 諸越へ通路の始は。人王十一代埀仁天皇の御宇にて。 |
J09_0252A04: | 彼所にては東漢の光武帝の代に當ると。王代一覽に |
J09_0252A05: | も見へ。猶委しきことは善隣國寶記にのせたり。又彼 |
J09_0252A06: | 所を唐土と書くことは。五帝の第四堯の世を唐と云ひ |
J09_0252A07: | て。是世の名を立るの始なる故と。又其後唐の太宗 |
J09_0252A08: | の時。別して通路も多くなり。殊に入唐受法のこと盛 |
J09_0252A09: | んなりし故に。總して震旦のことを。唐と云と見へた |
J09_0252A10: | り。 |
J09_0252A11: | 我てうとは。日本のことにて。則ち自身のある國をさ |
J09_0252A12: | して云なり。吾我は親しむの詞にて。主君を我きみ。 |
J09_0252A13: | 夫とを我つまと云が如し。されば佛祖統紀の序に。 |
J09_0252A14: | 至我本朝とあるは。作者の志盤が唐土の人故。吾 |
J09_0252A15: | 本朝と云れたが。則ち支那のことなり。今も亦如其。 |
J09_0252A16: | 大師の我朝との玉ひしは。日本のことなり。爾れはも |
J09_0252A17: | ろこし我朝とは。唐土日本と云ことなり。 |
J09_0252B18: | もろもろの智者達の。もろもろとは。諸の字にて。 |
J09_0252B19: | 非一と註したれは。數多と云ことにて。一人や二人で |
J09_0252B20: | はない。和漢兩朝に。智慧博學にして。而も念佛を |
J09_0252B21: | 弘通し。釋文等を著し玉いたる。多の人師をさして。 |
J09_0252B22: | もろもろの智者達との玉へり。智者とは。經律論を |
J09_0252B23: | 學び。聲明巧明等の。五明を備るを云。天台別傳云 |
J09_0252B24: | 大師傳佛法燈稱爲智者云云。是隋の煬帝。天台大 |
J09_0252B25: | 師の。德たけ學に長じ玉ふを。稱美し玉ふ辭なり。 |
J09_0252B26: | さて此所で。古來より穿議あり。大師何故に。震旦 |
J09_0252B27: | 日本のみを擧て。天竺を。はぶき玉ふぞと云に。隆 |
J09_0252B28: | 長闍梨の但信鈔には。何の所以もなく。畧し玉ひた |
J09_0252B29: | りとあれども。理を盡さざるなり。總して畧すると |
J09_0252B30: | 云は。有ても無てもすむことを。はぶくを。略すると |
J09_0252B31: | 云なり。今は畧には非。除き玉ふなり。所以者何んと |
J09_0252B32: | なれば。謬りは段段轉ずる中に生ずる故に。諺に烏 |
J09_0252B33: | 焉馬と云。東來束と云如く。天竺は佛生國にして。 |
J09_0252B34: | 其源となる故。本願念佛を。觀念と云誤なき故に。 |