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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0252A01: 説にも非と見へたれども。正訓は諸越にて。帝都に
J09_0252A02: 遠く隔りたる邊鄙と云の義と見へたり。又我國より
J09_0252A03: 諸越へ通路の始は。人王十一代埀仁天皇の御宇にて。
J09_0252A04: 彼所にては東漢の光武帝の代に當ると。王代一覽に
J09_0252A05: も見へ。猶委しきことは善隣國寶記にのせたり。又彼
J09_0252A06: 所を唐土と書くことは。五帝の第四堯の世を唐と云ひ
J09_0252A07: て。是世の名を立るの始なる故と。又其後唐の太宗
J09_0252A08: の時。別して通路も多くなり。殊に入唐受法のこと盛
J09_0252A09: んなりし故に。總して震旦のことを。唐と云と見へた
J09_0252A10: り。
J09_0252A11: 我てうとは。日本のことにて。則ち自身のある國をさ
J09_0252A12: して云なり。吾我は親しむの詞にて。主君を我きみ。
J09_0252A13: 夫とを我つまと云が如し。されば佛祖統紀の序に。
J09_0252A14: 至我本朝とあるは。作者の志盤が唐土の人故。吾
J09_0252A15: 本朝と云れたが。則ち支那のことなり。今も亦如其。
J09_0252A16: 大師の我朝との玉ひしは。日本のことなり。爾れはも
J09_0252A17: ろこし我朝とは。唐土日本と云ことなり。
J09_0252B18: もろもろの智者達の。もろもろとは。諸の字にて。
J09_0252B19: 非一と註したれは。數多と云ことにて。一人や二人で
J09_0252B20: はない。和漢兩朝に。智慧博學にして。而も念佛を
J09_0252B21: 弘通し。釋文等を著し玉いたる。多の人師をさして。
J09_0252B22: もろもろの智者達との玉へり。智者とは。經律論を
J09_0252B23: 學び。聲明巧明等の。五明を備るを云。天台別傳云
J09_0252B24: 大師傳佛法燈稱爲智者云云。是隋の煬帝。天台大
J09_0252B25: 師の。德たけ學に長じ玉ふを。稱美し玉ふ辭なり。
J09_0252B26: さて此所で。古來より穿議あり。大師何故に。震旦
J09_0252B27: 日本のみを擧て。天竺を。はぶき玉ふぞと云に。隆
J09_0252B28: 長闍梨の但信鈔には。何の所以もなく。畧し玉ひた
J09_0252B29: りとあれども。理を盡さざるなり。總して畧すると
J09_0252B30: 云は。有ても無てもすむことを。はぶくを。略すると
J09_0252B31: 云なり。今は畧には非。除き玉ふなり。所以者何んと
J09_0252B32: なれば。謬りは段段轉ずる中に生ずる故に。諺に烏
J09_0252B33: 焉馬と云。東來束と云如く。天竺は佛生國にして。
J09_0252B34: 其源となる故。本願念佛を。觀念と云誤なき故に。

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