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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0251A01: 置れたるもの故。夫れに紛れぬやうに。拂ひのけ玉
J09_0251A02: ふの下なり。其意を先として聞くべし。大師何故に。
J09_0251A03: 直に本願念佛の正義を示し玉はずして。發端より。
J09_0251A04: 諸師の謬解を擧げ玉ふぞと云に。夫れ法門の習ひ。
J09_0251A05: 或は遮表と次第し。或は表遮と次第すること。時宜に
J09_0251A06: 隨ふて一凖ならず。今大師の遮表と次第し玉ふ道理
J09_0251A07: を。手近くさとさば。水ある壺に酒油等を入るるに
J09_0251A08: は。先つ水をすてて。後に入るるが如し。元祖大師
J09_0251A09: より已前に。諸師の謬解ある故に。先是れを拂却し
J09_0251A10: 玉ふ。是れ則ち先きよりある水を捨るが如し。さて
J09_0251A11: 此謬解の子科の下に。又二つの孫科あり。一には觀
J09_0251A12: 念の謬解を揀ぶと。二に義解の謬解を揀ふの二つな
J09_0251A13: り。先初に觀念の謬解を拂ひ給ふとは。
J09_0251A14: もろこしとは。常に云。からのことにて。本名は震旦
J09_0251A15: とも。支那とも云。此方にて。もろこしと云は。諸
J09_0251A16: 越の意にて。遠く隔たりたる鄙と云義なり。されば
J09_0251A17: 古歌にも。もろこしの吉野の奧とよみ。又相摸の國
J09_0251B18: に。諸越ケ原と云あるを。源の忠房の歌に。『名にし
J09_0251B19: おはば虎やすむべき東路に。ありといふなるもろこ
J09_0251B20: しか原』とよめり。是等皆天離る鄙の意ろなり。古
J09_0251B21: 代我神國の雄雄しき見識にて。唐土などを。鄙遠の
J09_0251B22: 意にて呼ふを以見るべし。爾るに今時彼所をば。大
J09_0251B23: 唐中華などと美稱して。我日本をば。東夷と書に筆
J09_0251B24: せし僻儒もあり。されば。又近世復古の國學者は是
J09_0251B25: を憤り。堯舜周孔をすら押下して取らず。僻儒の誤
J09_0251B26: りは論なけれども。國學者も亦曲れるを矯て。直に
J09_0251B27: 過たりと云べし。既に中古より文字を傳へ儒を學び。
J09_0251B28: 禮樂刑政も。彼所に傚ひ給へること多ければなり。
J09_0251B29: さればいづれの國風も。善惡交雜するなれば。其善
J09_0251B30: きを取り。惡きを捨てて。偏ならざるを正意とすべ
J09_0251B31: し。又此もろこしと名くることを。彼國より薬種織物
J09_0251B32: 等を始めとし。もろもろの物をわたす故。もろもろ
J09_0251B33: の物をこす國じやと云意で。もろこしと云説もあり
J09_0251B34: て。眞名の伊勢物語に。諸來と書きたれば。杜撰の

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