浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0251A01: | 置れたるもの故。夫れに紛れぬやうに。拂ひのけ玉 |
J09_0251A02: | ふの下なり。其意を先として聞くべし。大師何故に。 |
J09_0251A03: | 直に本願念佛の正義を示し玉はずして。發端より。 |
J09_0251A04: | 諸師の謬解を擧げ玉ふぞと云に。夫れ法門の習ひ。 |
J09_0251A05: | 或は遮表と次第し。或は表遮と次第すること。時宜に |
J09_0251A06: | 隨ふて一凖ならず。今大師の遮表と次第し玉ふ道理 |
J09_0251A07: | を。手近くさとさば。水ある壺に酒油等を入るるに |
J09_0251A08: | は。先つ水をすてて。後に入るるが如し。元祖大師 |
J09_0251A09: | より已前に。諸師の謬解ある故に。先是れを拂却し |
J09_0251A10: | 玉ふ。是れ則ち先きよりある水を捨るが如し。さて |
J09_0251A11: | 此謬解の子科の下に。又二つの孫科あり。一には觀 |
J09_0251A12: | 念の謬解を揀ぶと。二に義解の謬解を揀ふの二つな |
J09_0251A13: | り。先初に觀念の謬解を拂ひ給ふとは。 |
J09_0251A14: | もろこしとは。常に云。からのことにて。本名は震旦 |
J09_0251A15: | とも。支那とも云。此方にて。もろこしと云は。諸 |
J09_0251A16: | 越の意にて。遠く隔たりたる鄙と云義なり。されば |
J09_0251A17: | 古歌にも。もろこしの吉野の奧とよみ。又相摸の國 |
J09_0251B18: | に。諸越ケ原と云あるを。源の忠房の歌に。『名にし |
J09_0251B19: | おはば虎やすむべき東路に。ありといふなるもろこ |
J09_0251B20: | しか原』とよめり。是等皆天離る鄙の意ろなり。古 |
J09_0251B21: | 代我神國の雄雄しき見識にて。唐土などを。鄙遠の |
J09_0251B22: | 意にて呼ふを以見るべし。爾るに今時彼所をば。大 |
J09_0251B23: | 唐中華などと美稱して。我日本をば。東夷と書に筆 |
J09_0251B24: | せし僻儒もあり。されば。又近世復古の國學者は是 |
J09_0251B25: | を憤り。堯舜周孔をすら押下して取らず。僻儒の誤 |
J09_0251B26: | りは論なけれども。國學者も亦曲れるを矯て。直に |
J09_0251B27: | 過たりと云べし。既に中古より文字を傳へ儒を學び。 |
J09_0251B28: | 禮樂刑政も。彼所に傚ひ給へること多ければなり。 |
J09_0251B29: | さればいづれの國風も。善惡交雜するなれば。其善 |
J09_0251B30: | きを取り。惡きを捨てて。偏ならざるを正意とすべ |
J09_0251B31: | し。又此もろこしと名くることを。彼國より薬種織物 |
J09_0251B32: | 等を始めとし。もろもろの物をわたす故。もろもろ |
J09_0251B33: | の物をこす國じやと云意で。もろこしと云説もあり |
J09_0251B34: | て。眞名の伊勢物語に。諸來と書きたれば。杜撰の |