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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0249A01: 本願に背けば。往生を得ず。往生せざれば。造りし罪に引かれて。苦趣に墮するなり。信ずれば往生し。
J09_0249A02: 背けば苦趣に沉むと云一大事を遺訓し給ふ。起請文
J09_0249A03: なれば。中中唐で天子と諸侯の盟誓の。日本で野心
J09_0249A04: のありなしを正す。湯起請の火起請のと云位なること
J09_0249A05: とは。同日の論ならず。至て大切の起請文。通題別
J09_0249A06: 題となつて。一枚起請とさへ云へば。誰でも。圓光
J09_0249A07: 大師の御遺誓じやと知ることに。なりたるものなり。
J09_0249A08: 爾るに。忍澂上人の諺論に念佛往生吉水遺誓と題し
J09_0249A09: 給ふは。書を講ずるには。題號の下にて。一部の大
J09_0249A10: 意を顯はす爲の設けなり。又向譽上人の梗槪聞書に。
J09_0249A11: 圓光大師御遺訓の七字を添へ玉ふは。拜誦の時に。
J09_0249A12: 信受の意を深く發さしめん爲の設けなるなり。大師
J09_0249A13: かくの如。除疑生信の。起請誓言に及び給ひたるは。
J09_0249A14: 我人をして。順次に往生なさしめん爲の。大慈大悲
J09_0249A15: の賜なれば其御賜を受奉りしと云證據に。此方よ
J09_0249A16: りも。一つ誓言を建ねばならぬ。其誓はと云に。日
J09_0249A17: 課を受るが。元祖大師の御遺誓を。信受し奉りしと
J09_0249B18: 云證據なり。爾るに此日課に。不受の機種種ある。
J09_0249B19: 内。今其一二を云はば。先一念義徒は。日課誓受は。
J09_0249B20: 自力を募りて。佛願を信ぜず等と。邪難をなすこと。
J09_0249B21: 大師御在世の中よりきざせし故。大師此邪義を誡め
J09_0249B22: 給へる。御法語に云。御傳廿一の卷又念佛の數を多く申もの
J09_0249B23: をは。自力をはけむといふ事。是またものも覺えず
J09_0249B24: あさましきひが事なり。ただ一念二念をとなふとも
J09_0249B25: 自力の心ならん人は自力の念佛とすべし。千遍萬遍
J09_0249B26: をとなへ。百日千日よる晝はげみつとむとも。偏に
J09_0249B27: 願力をたのみ他力をあふぎたらん人の念佛は聲聲念
J09_0249B28: 念然しながら他力の念佛にてあるべし。されば三心
J09_0249B29: をおこしたる人の念佛は。日日夜夜時時剋剋に唱ふ
J09_0249B30: れども。しかしながら願力を仰ぎ他力を賴みたる心
J09_0249B31: にて唱へ居たれば。かけてもふれても自力の念佛と
J09_0249B32: いふへからず。已上
J09_0249B33: かけふれは。挂觸の字なり。よるにさはるにと云
J09_0249B34: 意にて。とかくいかやうにしても。自力の念佛と

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