浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0248A01: | としるし玉へるなり。 |
J09_0248A02: | さて。此一枚起請文と云題號のこと。題は一部の總標 |
J09_0248A03: | なれば。うち見るより早。是は何事を記るせる書と |
J09_0248A04: | 云ことの顯るるが。題名を置の詮なり。 |
J09_0248A05: | 選擇本願念佛集念佛名義集等の如云云 |
J09_0248A06: | 爾るに一枚起請文とのみ題しては。此御遺誓の別名 |
J09_0248A07: | とはなるまじ。起請と云は。儒佛神の三道に通ずる |
J09_0248A08: | のみか。世間の一味徒黨の連判と云も。酒やめて博 |
J09_0248A09: | 奕やめて等とかく誓狀も。みな起請文と云中にこも |
J09_0248A10: | れば。通漫なる題名に非やと云に。なる程一往は爾 |
J09_0248A11: | なり。去りながら。夫れが則ち此起請文の超勝なる |
J09_0248A12: | 證據なり。總して得たるものは別稱せずと云て。至 |
J09_0248A13: | て勝れたことになれば。通名が則ち別名となるなり。 |
J09_0248A14: | されば念佛と云へば南無阿彌陀佛。華と云ば櫻。子 |
J09_0248A15: | の曰と云へば孔子のこととなるが如し。されば昔より |
J09_0248A16: | 宸翰を初め奉り。他宗の名匠等の此文を書せ玉ふを |
J09_0248A17: | 見るに。皆一枚起請文と題して。名を改め玉はず。 |
J09_0248B18: | 又世の智あるも愚かなるも。一枚起請文とだに聞け |
J09_0248B19: | ば。直に念佛の安心を示し玉へる。圓光大師の御遺 |
J09_0248B20: | 訓なりと知らぬはなし。見つべし。通題即ち別題と |
J09_0248B21: | なる。是れ則ち大師の御德の顯はれたるにて。得た |
J09_0248B22: | るものは別稱せずと云の義顯。是尤かくあるべき理 |
J09_0248B23: | なり。總して起請文と云中に。此一枚起請文の如き。 |
J09_0248B24: | 大功なる起請はなきなり。故は此起請文の御敎に隨 |
J09_0248B25: | て。唯往生の爲に。南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛と。唱だにす |
J09_0248B26: | れば。一毫未斷の惡凡夫の。死なば決定惡趣に沉む |
J09_0248B27: | と定まつたる者が。六趣輪迴を離るるのみか。來迎 |
J09_0248B28: | 引接の靈儀に從ひ。如彈指頃と。つまはじく間に。 |
J09_0248B29: | 報身報土の極樂に往生し。直に地上の大菩薩となり。 |
J09_0248B30: | 又此起請文に背きて。觀念義解の謬をやめ。別して |
J09_0248B31: | 申すは自力の。或は深甚の口傳があるのと云やうな |
J09_0248B32: | る。邪義邪勸に落入と云と。生死の苦海を出ることを |
J09_0248B33: | 得ず。或は焦熱の炎に燒れ。或は紅蓮の氷に閉られ。 |
J09_0248B34: | 或は餓鬼。或は畜生。飢につかれ。殘害に苦むなり |