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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0248A01: としるし玉へるなり。
J09_0248A02: さて。此一枚起請文と云題號のこと。題は一部の總標
J09_0248A03: なれば。うち見るより早。是は何事を記るせる書と
J09_0248A04: 云ことの顯るるが。題名を置の詮なり。
J09_0248A05: 選擇本願念佛集念佛名義集等の如云云
J09_0248A06: 爾るに一枚起請文とのみ題しては。此御遺誓の別名
J09_0248A07: とはなるまじ。起請と云は。儒佛神の三道に通ずる
J09_0248A08: のみか。世間の一味徒黨の連判と云も。酒やめて博
J09_0248A09: 奕やめて等とかく誓狀も。みな起請文と云中にこも
J09_0248A10: れば。通漫なる題名に非やと云に。なる程一往は爾
J09_0248A11: なり。去りながら。夫れが則ち此起請文の超勝なる
J09_0248A12: 證據なり。總して得たるものは別稱せずと云て。至
J09_0248A13: て勝れたことになれば。通名が則ち別名となるなり。
J09_0248A14: されば念佛と云へば南無阿彌陀佛。華と云ば櫻。子
J09_0248A15: の曰と云へば孔子のこととなるが如し。されば昔より
J09_0248A16: 宸翰を初め奉り。他宗の名匠等の此文を書せ玉ふを
J09_0248A17: 見るに。皆一枚起請文と題して。名を改め玉はず。
J09_0248B18: 又世の智あるも愚かなるも。一枚起請文とだに聞け
J09_0248B19: ば。直に念佛の安心を示し玉へる。圓光大師の御遺
J09_0248B20: 訓なりと知らぬはなし。見つべし。通題即ち別題と
J09_0248B21: なる。是れ則ち大師の御德の顯はれたるにて。得た
J09_0248B22: るものは別稱せずと云の義顯。是尤かくあるべき理
J09_0248B23: なり。總して起請文と云中に。此一枚起請文の如き。
J09_0248B24: 大功なる起請はなきなり。故は此起請文の御敎に隨
J09_0248B25: て。唯往生の爲に。南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛と。唱だにす
J09_0248B26: れば。一毫未斷の惡凡夫の。死なば決定惡趣に沉む
J09_0248B27: と定まつたる者が。六趣輪迴を離るるのみか。來迎
J09_0248B28: 引接の靈儀に從ひ。如彈指頃と。つまはじく間に。
J09_0248B29: 報身報土の極樂に往生し。直に地上の大菩薩となり。
J09_0248B30: 又此起請文に背きて。觀念義解の謬をやめ。別して
J09_0248B31: 申すは自力の。或は深甚の口傳があるのと云やうな
J09_0248B32: る。邪義邪勸に落入と云と。生死の苦海を出ることを
J09_0248B33: 得ず。或は焦熱の炎に燒れ。或は紅蓮の氷に閉られ。
J09_0248B34: 或は餓鬼。或は畜生。飢につかれ。殘害に苦むなり

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