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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0247A01: ては。紙板などの。平らなる物を數ふるとき。枚と
J09_0247A02: 云。故に釋名には。一枚を。ひとひらと訓ずるなり。
J09_0247A03: 今一枚とあるは紙員多くあるではなひ。唯一枚ぞと。
J09_0247A04: ことはらん爲に。一枚とあるなり。例せば。羅什翻
J09_0247A05: 譯の阿彌陀經を。四紙經と云が如し。
J09_0247A06: 起請文。起請とは。和朝の語にして。唐土には盟誓
J09_0247A07: と云なり。さて起請の起は。發起起動を義とし。請
J09_0247A08: は。奉請勸請招請の義なり。二字合しての意は。佛
J09_0247A09: 菩薩諸天善神を起動せしめ。此座へ勸請して。誓ふ
J09_0247A10: 所の其品。虚妄なきことを證して。若し一分も違ふこと
J09_0247A11: あらば。佛神の罰を被りて。今世後世。叶はぬ身と
J09_0247A12: ならんと誓ふを。招請と云。されば有人淺香山井か徒然草の注
J09_0247A13: 起請はうけをたつとよむ。たとへば人を抱ゆるに。
J09_0247A14: 請人をたつる如く。此こといつはりなきと云證據に。
J09_0247A15: 佛神を請人に立てて。人に心易く思はするなりと云
J09_0247A16: へり。此こと三國に通してあることなり。別して佛法に
J09_0247A17: は。誓願と云て。此誓言に依て。大地も震動し。天
J09_0247B18: 華亂墜するに及ぶことあり云云。唐土にては。盟誓と名
J09_0247B19: けて。天子諸侯。十二年に一度。或は三年等に。牛
J09_0247B20: の血を啜て。此誓ひを背かじと。誓約するなり。日
J09_0247B21: 本にては。神代に誓約と名けて。素盞烏の尊。天照
J09_0247B22: 大神の御前に於て。誓を立玉ひしが濫觴にて。應神
J09_0247B23: 天皇の御時に。正く起請と云が始りしなり。其所由
J09_0247B24: は。武内宿穪執政せらるるを。弟の甘美内宿穪讒言
J09_0247B25: せし故。天皇則ち神前にして。湯を探らしめ給へり。
J09_0247B26: 熱湯を探るを。湯起請と云。鐵火を握るを。火起
J09_0247B27: 請と云。口に云を。誓言と云。書にしるすを起請
J09_0247B28: 文と云。
J09_0247B29: 爾れども是大切のことにして。假初になすことには非な
J09_0247B30: り。爾るに大師。此起請文に及び玉へることは。衆生
J09_0247B31: の出離一大事の爲なる故。斯く誓言に及玉へり。故
J09_0247B32: に勢觀上人の奧書にも。門人邪義存人多上人滅後尚
J09_0247B33: 以猥異義依之雖病床臥給此一紙申請處也爲令
J09_0247B34: 不殘疑滯上人御自筆御判形令注置給處如件

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