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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0240A01: 是をも信受せずんば。何ことをか信受すべき。ゆめゆ
J09_0240A02: め忽緖の思ひをなすことなかれ。
J09_0240A03: さて又此縁起の外に。一枚起請文は。賀茂大明神の
J09_0240A04: 爲に。書せ給ふと云説あれども。此説は用ひ難し。
J09_0240A05: 其所以は。既に勢觀上人の願ひによることは。御傳の
J09_0240A06: 文面と云。勢觀上人の奧書と云。尤顯著なれば。决
J09_0240A07: して異義を存ずまじきなり。されば此御遺誓は。元
J09_0240A08: 祖大師の御慈悲と。勢觀上人の御慈悲と。師資偶合
J09_0240A09: の御慈悲より發る。其本はと云へば。總じては。古
J09_0240A10: 來の諸師の。本願念佛の義を。謬解せられたると。
J09_0240A11: 別しては。御弟子の中に。一念義の邪立發りて。往
J09_0240A12: 生の大害をなすを防ぎ。正義を末世に傳ふる爲に。
J09_0240A13: 勢觀上人は懇請。大師は記し殘させ給ひたるなり。
J09_0240A14: されは此れは是。至て惡しきことより。至て善きことの
J09_0240A15: 發りたるにて。云はば。彼陰窮りて陽生ずると。云
J09_0240A16: やうなるものなり。總じて世出世とも。斯ふ云例は
J09_0240A17: 多きものなれば。世間のことにも。快からぬことがあれ
J09_0240B18: ばとて。強ひて嘆くべきことに非。善惡は不離なるも
J09_0240B19: のなれば。其嘆きが又どう云喜びにならふも知れぬ
J09_0240B20: 故に。諺にも人間萬事塞翁が馬と云なり。佛敎にも
J09_0240B21: 此例多く。楞嚴經の説けたるは。阿難尊者の。摩騰
J09_0240B22: 伽に。妨げられんとし給ひしが基となり。維摩の病
J09_0240B23: 縁。阿闍世の不孝。諸部の律制。多くは六群等のあ
J09_0240B24: やまちより起る。近く貴利支丹の渡りしが。佛法の
J09_0240B25: 結縁。廣くなる基となれり。往古は葬禮も思ひ思
J09_0240B26: ひなれば。結縁さへ疎かりしに。邪宗門御制禁の後
J09_0240B27: は。禰宜でも。儒者でも。宗旨を定め。僧者の引導
J09_0240B28: 燒香を受れば。自ら結縁の利益を得る。是等は皆。
J09_0240B29: 惡るいことから。よい事の起りしなり。今も亦其如く。
J09_0240B30: 古來の謬り。一念義の邪立は。至てわるけれども。
J09_0240B31: それを防ぐ爲に本願念佛の正義。安心起行の至極を。
J09_0240B32: 一紙の法語に書き顯し。易識易讀。決定信受仕易
J09_0240B33: ひやうに。誓言手印までを添給へば。我等が爲の無
J09_0240B34: 上寶珠。十即十生。百即百生の券契なり。若し此御

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