浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0240A01: | 是をも信受せずんば。何ことをか信受すべき。ゆめゆ |
J09_0240A02: | め忽緖の思ひをなすことなかれ。 |
J09_0240A03: | さて又此縁起の外に。一枚起請文は。賀茂大明神の |
J09_0240A04: | 爲に。書せ給ふと云説あれども。此説は用ひ難し。 |
J09_0240A05: | 其所以は。既に勢觀上人の願ひによることは。御傳の |
J09_0240A06: | 文面と云。勢觀上人の奧書と云。尤顯著なれば。决 |
J09_0240A07: | して異義を存ずまじきなり。されば此御遺誓は。元 |
J09_0240A08: | 祖大師の御慈悲と。勢觀上人の御慈悲と。師資偶合 |
J09_0240A09: | の御慈悲より發る。其本はと云へば。總じては。古 |
J09_0240A10: | 來の諸師の。本願念佛の義を。謬解せられたると。 |
J09_0240A11: | 別しては。御弟子の中に。一念義の邪立發りて。往 |
J09_0240A12: | 生の大害をなすを防ぎ。正義を末世に傳ふる爲に。 |
J09_0240A13: | 勢觀上人は懇請。大師は記し殘させ給ひたるなり。 |
J09_0240A14: | されは此れは是。至て惡しきことより。至て善きことの |
J09_0240A15: | 發りたるにて。云はば。彼陰窮りて陽生ずると。云 |
J09_0240A16: | やうなるものなり。總じて世出世とも。斯ふ云例は |
J09_0240A17: | 多きものなれば。世間のことにも。快からぬことがあれ |
J09_0240B18: | ばとて。強ひて嘆くべきことに非。善惡は不離なるも |
J09_0240B19: | のなれば。其嘆きが又どう云喜びにならふも知れぬ |
J09_0240B20: | 故に。諺にも人間萬事塞翁が馬と云なり。佛敎にも |
J09_0240B21: | 此例多く。楞嚴經の説けたるは。阿難尊者の。摩騰 |
J09_0240B22: | 伽に。妨げられんとし給ひしが基となり。維摩の病 |
J09_0240B23: | 縁。阿闍世の不孝。諸部の律制。多くは六群等のあ |
J09_0240B24: | やまちより起る。近く貴利支丹の渡りしが。佛法の |
J09_0240B25: | 結縁。廣くなる基となれり。往古は葬禮も思ひ思 |
J09_0240B26: | ひなれば。結縁さへ疎かりしに。邪宗門御制禁の後 |
J09_0240B27: | は。禰宜でも。儒者でも。宗旨を定め。僧者の引導 |
J09_0240B28: | 燒香を受れば。自ら結縁の利益を得る。是等は皆。 |
J09_0240B29: | 惡るいことから。よい事の起りしなり。今も亦其如く。 |
J09_0240B30: | 古來の謬り。一念義の邪立は。至てわるけれども。 |
J09_0240B31: | それを防ぐ爲に本願念佛の正義。安心起行の至極を。 |
J09_0240B32: | 一紙の法語に書き顯し。易識易讀。決定信受仕易 |
J09_0240B33: | ひやうに。誓言手印までを添給へば。我等が爲の無 |
J09_0240B34: | 上寶珠。十即十生。百即百生の券契なり。若し此御 |