島根県出雲市別所町。浮浪山一乗院。天台宗。本尊は千手観音と薬師如来。鰐山がくさんとも呼ばれる。伝承では推古天皇二年(五九四)、信濃の智春が当地の浮浪の滝に祈って推古天皇の眼疾が平癒したことから、同天皇の勅願寺として建立されたという。平安時代になると天台宗寺院となり、また神仏習合の影響で出雲大社の別当寺として山陰地方に大きな影響力を持った。石見出身の良忠は建暦元年(一二一一)同寺の月珠房信暹しんせんの門を叩いている。
【執筆者:伊藤真昭】