願力
提供: 新纂浄土宗大辞典
がんりき/願力
本願のはたらき。本願力、宿願力ともいう。浄土教においては、阿弥陀仏が法蔵菩薩であったときにおこした誓願の力用、すなわち阿弥陀仏の救済力を指す。曇鸞は『往生論註』下に「不虚作住持とは、もと法蔵菩薩の四十八願と今日の阿弥陀如来の自在神力とに依りてなり。願以て力を成じ、力以て願を就す。願徒然ならず、力虚設ならず。力と願と相い符して畢竟じて差わず。故に成就という」(浄全一・二四七下/正蔵四〇・八四〇上)と説き、願・力ともに成就しているので、阿弥陀仏の救済力は確実なものであるとしている。また、善導は『観経疏』散善義に「二には決定して深く信ず。かの阿弥陀仏、四十八願をもって衆生を摂受したまう。疑い無く慮無く、彼の願力に乗じて、定んで往生を得と」(聖典二・二八九/浄全二・五六上)と説き、法然は『念仏大意』に「末代の衆生、その行成就し難きによりて、まず弥陀の願力に乗りて、念仏往生を遂げて後、浄土にて阿弥陀如来観音勢至に値いたてまつりて、諸の聖教をも学し、悟をもひらくべきなり」(聖典四・三四三/昭法全四〇七)と説いて、阿弥陀仏の願力に乗じて往生することを勧めている。
【参照項目】➡本願力
【執筆者:梶原隆浄】