どうしん/道琛
—紹興二三年(一一五三)一二月一六日。円弁法師と号した。中国宋代の天台系浄土教者。専ら念仏三昧を修し、唯心浄土の義を悟ったとされる。また、浄土繫念会という念仏結社を設立し、毎月二三日に行う際には、一万人もの道俗が集まったという。著作には『唯心浄土説』(『楽邦文類』所収)があり、天台の十界互具・一念三千の説を用いて、十界・四種浄土も本来心性本具であることを述べ、わが心を離れて別に浄土も弥陀もあるべきではないという唯心浄土説を論じている。
【資料】『仏祖統紀』(正蔵四九)、『楽邦文類』(浄全六/正蔵四七)
【参照項目】➡己心の弥陀・唯心の浄土
【執筆者:吉水岳彦】