辺地往生
提供: 新纂浄土宗大辞典
へんじおうじょう/辺地往生
極楽の辺地に往生すること。『無量寿経』下に「疑惑し中悔して、自ら過咎を為すことを得ることなかれ。かの辺地の、七宝の宮殿に生ずれば、五百歳の中に諸もろの厄を受く」(聖典一・二六七/浄全一・二七)と説かれ、疑惑の心をもちつつ、修行して往生を遂げた者が、極楽の辺地にある宮殿に往生し、五〇〇年にわたって阿弥陀仏に会えないなどの厄を受けるとされる。良忠はこの辺地往生を胎生と同義とみなす。親鸞は『教行信証』の「化身土文類」において『無量寿経』のこの説示を方便化身土であり化土であるとしている。
【資料】『大阿弥陀経』下、『東宗要』三
【参考】藤田宏達『原始浄土思想の研究』(岩波書店、一九七〇)、望月信亨「辺地胎生の説に就いて」(浄土学一、一九三〇)
【執筆者:鷹觜観道】