総録所
提供: 新纂浄土宗大辞典
そうろくしょ/総録所
江戸時代に一宗の政権を統括し、宗務を処理していた機関。芝増上寺におかれ、増上寺住職が総裁となり、他の檀林住職が補佐役、増上寺月行事一二名、所化役者二名、寺家役者二名の一六名が事務を担当した。総録は中国の制度にならったもので、室町時代に足利義満が春屋妙葩を任命したのが最初で、禅宗寺院を統括した。浄土宗では、江戸時代に自然発生的に組織化された。主な事務は幕府と宗団との連絡事務であり、伝達あるいは申請に関するものが多い。宗門法度の実施、本山・檀林・紫衣地などの住職推薦、檀林所化の名簿を整理し、進退任免などを司った。宗団の秩序を維持する上で果たした役割は大きく、幕府の宗教政策にも合致したものであった。
【執筆者:𠮷水成正】