種子衣
提供: 新纂浄土宗大辞典
しゅじえ/種子衣
五条袈裟の変形したもの。伝道袈裟、輪袈裟ともいい、天台宗や真言宗では種子袈裟、呪字袈裟と呼ばれる。道衣・伝道服・洋服などにかける。輪状につくり、その両端を紐でつなげたもので、通肩にして首にかける。襟のところに信仰する仏の種子を書いて入れて仕立てた袈裟のこと。貞極は輪袈裟事として「輪袈裟は何の代誰の制法と云う事を知らざれ共、由来久し、世に伝え云う、大衣の左右上下の甲を取り用て着する也。又種子袈裟と云う、真言の種子の字の言内に封じ込めたる故に名くという。但し今時商売の輪袈裟は其義有べからず」(『砧槌鈔』一〇、『四休菴貞極全集』下・二一〇四)とする。江戸中期においても現在においても実際に種子を入れて仕立てたものは少なく、形だけの場合が多い。宗旨によっては輪袈裟(浄土宗の輪袈裟と異なる)の半分という意味で半袈裟とも呼ばれる。
【資料】『聖道衣料編』(仏全七四・一七九)
【執筆者:大澤亮我】