法事讃私記見聞
提供: 新纂浄土宗大辞典
ほうじさんしきけんもん/法事讃私記見聞
一
三巻。『法事讃見聞』『行儀分私記見聞』ともいう。聖聡撰。良忠撰『法事讃私記』の注釈書。本書が注釈する『法事讃私記』の引用箇所は、良栄理本の『法事讃私記見聞』と重なることが少なく、具体的に良栄の解釈を挙げてその相違を述べることもほとんど見られない。また白旗派の典籍を多く援用していることから、他流の解釈を批判するというよりは、白旗派の教義顕彰に重きを置いた内容といえる。
【所収】浄全四
【執筆者:米澤実江子】
二
三巻。「良栄見聞」「大沢見聞」の一書で、『法事讃記見聞』ともいう。良栄理本撰。良忠『法事讃私記』の注釈書。良忠が『法事讃私記』において、善導著作の五部の内『観経疏』を「解義分」とし、『法事讃』『観念法門』『往生礼讃』『般舟讃』を「行儀分」とし、さらに行儀分を五種正行の読誦・観察・礼拝・讃歎に配当する解釈について、良忠の釈義をさらに詳述する態度が見られる。また『法華経』『称讃浄土経』『大荘厳経』『摩訶止観』等の諸典籍ならびに智顗・吉蔵・義寂等を援用しながら、名越派の見解を示す。
【所収】浄全四
【執筆者:米澤実江子】