二巻。珍海撰。保延五年(一一三九)成立。往生浄土の教えの時機相応であることを示し、念仏によって決定往生の安心を得て、聖衆の来迎を期すべきであると説く。その構成は教文・道理・信心からなる。法然以前に善導の『観経疏』散善義、就行立信じゅぎょうりっしん釈の文に注目し、称名念仏を「正中の正」とし、法然も東大寺講説(『無量寿経釈』)の中で善導義を補助するものとして注目している。
【所収】浄全一五、正蔵八四
【執筆者:坂上雅翁】