本山義
提供: 新纂浄土宗大辞典
ほんざんぎ/本山義
西山流六義の一つ。康空示導を祖とする。示導は西山三鈷寺(西山北尾往生院)八世の法灯を継承し、その教旨を宣布したので三鈷寺流ともいう。また三鈷寺は、証空己証の法門を唱導した根本道場で、これを正統に継承したことから根本山義ともいう。本山義の教学の特色は、天台・真言・戒・浄土の四宗兼学の上に念仏を領解することである。示導の著述に『康永抄』四巻や『三心出要鈔』一巻がある。門弟に示観、示浄、実導、明導などの学匠が出る。なかでも実導は示浄のあと三鈷寺一〇世となり、本山義の教旨を顕揚して『弘深抄』九巻をはじめ円頓戒関係など多義にわたって多くの著述を残し、本山義を大成した。また実導は『西山上人縁起』六(八)巻を編纂して、他の西山諸義に対抗して、その正統性を主張しようとした。この門流は一時大いに栄え、室町時代の文明から明応にかけて全盛期であったが、その法灯は絶えた。
【資料】『法水分流記』、『源流章』
【参照項目】➡実導
【執筆者:伊藤正順】