恵尋
提供: 新纂浄土宗大辞典
えじん/恵尋
—弘安元年(一二七八)一〇月二八日。求道房。金戒光明寺四世。『鎮流祖伝』四によると、はじめ比叡山において天台学を修め、後に源智について浄土宗義を学んだとされる。青蓮院蔵の恵尊『遮那業血脈譜』によると大原の良忍の戒法を常蓮房猷円から相伝したとされるが、『円戒暁示鈔』には湛空より戒を受けたと伝えられる。これによって叡空—源空—湛空と相伝する正統伝持者といわれるが、自身の著作である『師資相承』には湛空の名はみられない。当時、比叡山において円頓戒はほとんど廃絶していたため、金戒光明寺を中心として円頓戒の復興につとめた。恵尋から円頓戒を受けた者として、神蔵寺の伝信、法勝寺の恵鎮、元興寺の惟賢、西山の道空・理円などがいる。著作に『円頓戒聞書』二巻、『師資相承』一巻などがある。
【資料】『鎮流祖伝』四(浄全一七)、『黒谷誌要』(浄全二〇)
【参考】望月信亨「元祖上人と円頓戒の系統」「再び円頓戒の系統に就て」(『浄土教之研究』日本図書センター、一九七七)、恵谷隆戒『改訂円頓戒概論』(大東出版社、一九七八)
【執筆者:沼倉雄人】