じけやくしゃ/寺家役者
江戸時代に置かれた二名からなる増上寺総録所の役職名。所化役者とともに増上寺住持を補佐し、一宗寺院や増上寺山内の御霊屋や坊中の監督・支配にあたることを任務とした。はじめは御仏殿役者と呼ばれていたが、明暦三年(一六五七)一〇月には寺家役者の名称が使用された。増上寺山内坊中より上座の者二名がその任に当たった。はじめは所化役者よりも下位にみられていた。ところが、江戸時代中期以降は、所化役者への権力集中を避けるため、寺家役者の権限も拡大された。
【参考】宇高良哲「浄土宗の触頭制度について」(『法然浄土教の綜合的研究』山喜房仏書林、一九八四)
【参照項目】➡所化役者、総録所
【執筆者:𠮷水成正】