大阿弥陀経
提供: 新纂浄土宗大辞典
だいあみだきょう/大阿弥陀経
一
⇨阿弥陀三耶三仏薩楼仏檀過度人道経(あみださんやさんぶつさるぶつだんかどにんどうきょう)
二
二巻。王日休校輯。宋・紹興三二年(一一六二)成立。〈無量寿経〉漢訳四本を合糅して一本に編集したもの。その序に「大蔵経の中、十余経有りて、阿弥陀仏衆生を済度すと言う。其の間、四経本一種たり。訳者同じからず。故に四の名有り。一には無量清浄平等覚経と名づく。乃ち後漢月支三蔵支婁迦讖の訳。二には無量寿経と曰う。乃ち曹魏康僧鎧の訳。三には阿弥陀過度人道経と曰う。乃ち呉月支支謙の訳。四には無量寿荘厳経と曰う。乃ち本朝西天三蔵法賢の訳。其の大略同じと雖も然れども其の中に甚だ差互有り」(正蔵一二・三二六下)とあるように〈無量寿経〉漢訳四本の異同が少なからずあるため、観音菩薩に冥助を求め、都合三年かけて編集を加え、五六分科にまとめて『大阿弥陀経』と名付けたという。上巻二一項目では法蔵説話と四十八願など、下巻三五項目では依正二報と往生の得益などが説示される。巻頭には自序と礼祝儀式、巻末には法起の跋がある。本経は〈無量寿経〉初の合糅本としてその後の類本の原型となり、後には大明南蔵・大明北蔵そして清版大蔵経にも収録された。また「選択」と「摂取」が併用されるなど浄土宗義から注目される点もある。
【所収】正蔵一二
【参考】小笠原宣秀「宋代の居士王日休と浄土教」(『結城教授頌寿記念 仏教思想史論集』大蔵出版、一九六四)、林田康順「法然における〈選択〉思想の成立とその意義」(『仏教学』五一、二〇〇九)
【参照項目】➡無量寿経
【執筆者:林田康順】