外道
提供: 新纂浄土宗大辞典
げどう/外道
仏教から見て仏教以外の教えの総称。また、そうした教えを奉ずる人。仏典では「九十五種外道」「九十六種外道」「六十二見」「六種外道」など種々の外道があると説かれる。今日においては仏教と同じくインド思想という点から論考されるべきであるが、仏典ではしばしば「魔」と同格のものとして用いられ、降伏すべき対象とされる。外道の定義については例えば『翻訳名義集』に「俱舎玄義に云わく。学、諦理に乖きて、自らの妄情に随いて内覚に返らざるを称して外道となす」(正蔵五四・一〇八四上)と示されるが、そうした視点は仏教内部へも注がれており、外道を世間種種外道・仏法内有諸外道といった二種や仏教外外道・附仏法外道・学仏法成外道といった三種に分類することがあり、外道の範疇は仏教の内外に及ぶものとも考えられている。法然は一念往生の義に関して、一遍や十遍の念仏でも往生がかなうとする阿弥陀仏の本願を曲解して多念や持戒を軽視するのは邪見であり、精進の人を懈怠にし持戒の人を無慚にするものとして、そうした考えの人を「附仏法の外道」(『越中国光明房へつかわす御返事』聖典四・四二二~三/昭法全五三九)などと断じ、往生を願う人を妨げようとする人であると強く難じている。
【資料】『大日経疏』一九、『注大乗入楞伽経』四
【執筆者:袖山榮輝】