村上博了著。昭和四九年(一九七四)一一月、大本山増上寺刊。開宗八〇〇年の大殿完成記念として増上寺六〇〇年の歴史をまとめたもの。一四章で構成されるが、江戸時代までの内容は、文政二年(一八一九)の摂門の『三縁山志』に拠るところが大きい。戦前戦後を通じて増上寺の文化財を担当した著者が、所蔵文化財や維新前後の増上寺の北海道開拓、発掘調査された南北の御霊屋おたまやなどに重点を置いて記している。近現代を含めた増上寺史の嚆矢となる。
【執筆者:野村恒道】