和尚号
提供: 新纂浄土宗大辞典
かしょうごう/和尚号
僧侶一般の位号の一つ。教えを受ける師を意味するⓈupādhyāyaを親教師・力生等と漢訳し、高徳の僧を和上・和尚と称する。古くは律令制の僧綱による官位として、法眼和上位、法印大和尚位を定めたことが『日本三代実録』(巻八、貞観六年〔八六四〕二月一六日条)に記されているが、やがて修行を積んだ高徳の僧侶を指す語となり、現在では住職など僧侶一般の通称として教師の位号に用いられている。和上、和尚等の呼称については大雲『啓蒙随録』に「南都の諸宗にてはワジャウと呼び、北嶺にてはクワシャウと呼び、禅宗にてはヲシャウと呼ぶ…浄土は天台に準ずべきを、中古関東にて禅宗盛なりし故自ら其の宗風うつりてヲシャウと呼来れり」(初篇一・七オ)と記しているが、現在では「かしょう」を浄土宗の呼称としている。大和尚、老和尚、和尚などの諡号は、没後に僧階・経歴・法臘などを勘案して長老が付すものであるが、古例では僧正以上を大和尚としている。老和尚は僧正に達しない六五歳以上の璽書伝授者に贈るとする説が有力である。
【資料】道誠『釈氏要覧』、「啓蒙随録」(『明治仏教思想資料集成』二、二二二、同朋舎、一九八〇)、藤原時平『日本三代実録』
【参照項目】➡和尚
【執筆者:熊井康雄】