伝法然述。建久六年(一一九五)に執り行われた東大寺供養の概要ならびにそのときの法然の説法について述べたもの。この物語は、東大寺の供養にあたり、導師を選定する際のいきさつ、比叡山・興福寺・三井寺の三上人によって三座の説法がなされたことが述べられ、その後、法然が説法の座についたことが紹介されている。法然の説法は、様々な経典に触れ、それに加え念仏の教えを説き示し、聴衆はみな涙を流したとされる。
【所収】昭法全八八三~九一
【執筆者:石田一裕】