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四無量心

提供: 新纂浄土宗大辞典

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しむりょうしん/四無量心

衆生利益するにあたって無制限に配慮する慈・悲・喜・捨の四種の心のありようで、仏や菩薩のもつ絶対の境地として尊重される。①慈無量は、いつくしみの心によってすべての生きものに楽しみを与えようとする心、②悲無量は、あわれみの心によってすべての生きものの苦しみを抜こうとする心、③喜無量は、自分を愛し、他をねたむ心を捨てて他人の楽しみをともに喜ぶ心、④捨無量は、私心がもたらす愛憎、好悪の心を捨てて他に対し平等に接する心のこと。アビダルマ仏教では禅定によって体得すべき徳目として限定される傾向にあったが、大乗仏教ではひろく利他の実践の精神として重視されるようになった。法然は『逆修説法』で『観経』所説の三福の第一福について「慈心不殺とは四無量心の中の初の慈無量なり。すなわち初の一戒を挙げて後の三を摂するなり。慈無量とは楽を与え、悲無量とは苦を救うなり。喜無量とは抜苦与楽を見て喜ぶなり。捨無量とは不喜不苦なり」(昭法全二六〇)と説く。


【参照項目】➡慈悲


【執筆者:大南龍昇】