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神話

提供: 新纂浄土宗大辞典

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しんわ/神話

現実生活とそれを取り巻く世界、およびそれに含まれる諸事物の根源的起源や意義を伝承的または象徴的に説く説話。語られる対象は多岐にわたり、個人、民族、国家、世界、宇宙、自然、神などあらゆるものが含まれる。例として、ギリシャ神話、北欧神話、日本神話などがある。神話世界のほぼ全ての地域、民族に見られるが、そこには神・霊魂など超自然的な存在や超人、英雄などが登場し、原初の創造的な出来事や行為が描かれていることが多い。仏教神話としては、須弥山しゅみせん説や六神通ろくじんずうなどいくつかの例をあげることができるが、キリスト教の聖書で語られる起源神話的要素はあまり見られない。大乗仏教の根本的な立場としてあらゆる有相を否定する縁起・空思想から出発しながらも、積極的に神話的要素を受容し自らを展開していったという点は注目しなければならない。


【参考】河波昌「神話と歴史に関する一考察—大乗仏教神話における歴史哲学的考察—」(『東洋学研究』四、一九七〇)、吉田敦彦・松村一男編『神話学とは何か』(有斐閣、一九八七)


【執筆者:江島尚俊】