濁り、けがれたこの世、現世のこと。五濁悪世・濁悪世の略。Ⓢkaṣāya-kāla。『六度集経』六に「もし濁世に衆生あって、盲冥にして正に背そむき、邪に向かい、仏を知ることなければ、われかの世においてこれを拯済しょうさいすべし」(正蔵三・三八下)とある。一般に世の濁悪を五つの方面から説いて五濁悪世といい、『阿弥陀経』に、「娑婆国土の五濁悪世の劫濁・見濁・煩悩濁・衆生濁・命濁の中において、阿耨多羅三藐三菩提あのくたらさんみゃくさんぼだいを得」(聖典一・三二一/浄全一・五五)と説かれている。
【参照項目】➡五濁、末法
【執筆者:小林尚英】