阿弥陀仏像の様式の一つ。通常、来迎印を結ぶ阿弥陀像が右手を屈臂くっぴさせ、左手を垂下させるか膝上に置くのに対し、右手を垂下させ、左手を上にあげる。重源が建久三年(一一九二)に快慶に造らせた兵庫県小野市浄土寺阿弥陀三尊立像(国宝)の中尊は、代表的作例といえる。現存するこの形式の阿弥陀仏像は鎌倉時代以降に制作されたものばかりで、伝来した宋代仏画を基に造像され始めたものとされる。
【参考】光森正士「阿弥陀仏の異形像について」(『仏教美術論考』法蔵館、一九九八)【図版】巻末付録
【参照項目】➡阿弥陀仏像
【執筆者:藤田直信】