いあくにんせっかいかい/為悪人説戒戒
『梵網経』に説かれる四十八軽戒のうちの第四二戒。悪人に対して菩薩戒を説くことを禁止するもの。『梵網経』では、仏の弟子たる者が自身の利益を得ようとして、まだ菩薩戒を受けていない者、外道の悪人、邪見を持つ者、国王以外の者に戒を説いてはならないとする。これは授戒の際に受者が初めて戒について聞くことを重視し、菩薩道を信じようとしないなどの者には受戒の資格がないとの理由によるものと解される。この戒に違反した場合は軽垢罪に当たる。
【参考】恵谷隆戒『改訂円頓戒概論』(大東出版社、一九七八)
【参照項目】➡四十八軽戒、軽垢罪
【執筆者:山極伸之】