ごおん/呉音
漢字の字音の種類。日本から官吏や僧侶らが中国に派遣され、それぞれの時代や地域で使用されていた漢字音を日本に持ち帰ったことで、呉音・漢音のほか、唐・宋音などの字音が現在まで残っており、一般に、呉音は四~六世紀頃の南方(長江流域の江南地方)の字音といわれている。日本では仏教語や経典の読誦においては伝統的に呉音が多く用いられ、儒教典籍など仏教以外の漢籍では漢音が用いられる傾向がある。
【参考】藤堂明保「呉音と漢音」(『藤堂明保中国語学論集』汲古書院、一九八七)
【参照項目】➡音読、漢音
【執筆者:齊藤隆信】