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降魔偈

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ごうまげ/降魔偈

新亡に対する回向文。「門門不同八万四もんもんふどうはちまんし 為滅無明果業因いめつむみょうかごういん 利剣即是弥陀りけんそくぜみだごう 一声称念罪皆除いっしょうしょうねんざいかいじょ」。『般舟讃』(浄全四・五三一上正蔵四七・四四八下)に出る。八万四千にも及ぶ法門はどれも同じものはないけれども、すべて無明を滅し、煩悩を断つものである。その中にあって阿弥陀仏宝号を一声称えれば、利剣が煩悩を断じるように罪は皆除かれる、との意。偈題について『諸回向宝鑑』二(一二オ)には「精霊回向文」、『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』下(三オ)には「在家亡霊回向文または念仏降魔の讃」とある。大正一一年(一九二二)の『浄土宗法式精要』に至り「降魔偈」と題された。『利剣名号折伏鈔』には百万遍知恩寺弘法大師筆と伝わる利剣名号と結び付けて細釈し、『浄土宗回向文和訓図会』には「利剣名号の文」とし、念仏煩悩を滅するように百万遍念仏を修すると悪魔降伏の功徳があるとし、その際には摂益文の代わりにこの偈を称える。枕経通夜迎接こうしょう式・荼毘式収骨式などの檀信徒葬儀式回向文として用いる。


【執筆者:巖谷勝正】