四巻。西山流本山義の祖示導房康空が、康永元年(一三四二)から同四年まで、毎年七月一日から約二週間、八条大慈薗寺(廃寺)にて善導『観経疏』を一巻ずつ講義した記録。示導没後、文和二年(一三五三)から翌年にかけて講録が整理された。示導は、後醍醐天皇の帰依を得て、大慈薗寺の他、大原来迎院や西山往生院に住した。証空の正嫡という強い意識を持ち、本書にもその教説の引用や強調が随所に見られる。
【所収】西全八、仏全六〇
【執筆者:稲田廣演】