羂索
提供: 新纂浄土宗大辞典
けんさく/羂索
諸尊の持物で、諸獣を捕らえるための狩猟の道具や武器のこと。「けんじゃく」とも読む。帝釈天や四天王が菩薩を守るため刀剣や弓箭とともに所持すると説かれたり、あるいは不動明王や不空羂索観音、千手観音などの持物として用いられる。羂索は煩悩に譬えられたり、反対に菩提心や善知識にも譬えられる。これは羂には罠・網、索には縄といった意があり、捕らえるという観点から衆生を迷いの世界に縛り付ける役割のものに、捕らえて引き寄せるという観点から衆生を覚りの世界へと引き込む役割のものに譬えたと解釈できる。
【資料】『根本説一切毘奈耶』三、『衆許摩訶帝経』三、『四十華厳』一四、三三、三五など
【執筆者:袖山榮輝】