衆生の機根に応じて、誰にでもはっきりとわかることばや文字で説かれた教えをさす。表面からは計り知れず、仏の境地に達した者にしか示されない密教に対する語。真言宗では、大日如来の悟った真理そのものを密教、それ以外を顕教とする顕密二教判をたて、主に密教の側からみて方便の仮りの教えという意味で用いられた。天台の教判では顕露不定教けんろふじょうきょうと秘密不定教という分判を示し、優劣を問うものでない。
【参照項目】➡密教
【執筆者:霜村叡真】