一巻。伝法然撰。善導所説の三縁釈にもとづいて念仏の衆生には三縁があり、摂取不捨の利益を得て、次生に宝国にいたることを問答体をもって記述した書。『浄土真宗経典志』では比叡山時代の法然の作とされるが、『蓮華三昧経』の本覚讃の思想から阿弥陀仏を一切衆生の本有常住の本覚如来というなど、その思想に中古天台的本覚思想の影響がみられることから、おそらくは法然に名をかりた疑撰と考えられる。
【所収】昭法全、仏全二四
【参照項目】➡決定往生行相抄
【執筆者:新井俊定】