著者不詳。懐感『群疑論』の注釈書。良遍の『群疑論見聞』とは内容的に全く別であり、浄土門の立場から解釈した箇所が多く、『釈浄土群疑論探要記』と比較しても直接的な関連がみられない。四・六・八の三巻のみ金沢文庫に現存し、その筆跡は同文庫蔵『安楽集見聞抄』二巻・『散善顕行縁』等と近似し、『群疑論疑芥ぎかい』よりは後代の著作であると考えられる。
【参考】坪井俊映「鎌倉時代に於ける群疑論釈書について—特に金沢文庫所蔵群疑論見聞—」(日仏年報二一、一九五六)、金子寛哉『「釈浄土群疑論」の研究』(大正大学出版会、二〇〇六)
【参照項目】➡釈浄土群疑論
【執筆者:大屋正順】