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九品皆凡

提供: 新纂浄土宗大辞典

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くほんかいぼん/九品皆凡

観経』に説かれる九種(九品)の往生人は、みな仏滅後の五濁悪世の凡夫であるという善導観経疏』玄義分における解釈。『観経』には、極楽浄土往生する人に九種の階位があると説かれている。これについて古来さまざまな解釈があるが、いずれも浄影寺慧遠じょうようじえおんのように、九種をすべて大小乗の聖人しょうにんと捉えたものであった。そこで善導は「『観経』の定善、および三輩上下の文意を看るに、すべてこれ仏世を去りたまいて後の、五濁凡夫なり。ただ縁に遇うに異有るを以て、九品をして差別せしむることを致す。何ぞや、上品の三人は、これ大に遇える凡夫中品の三人は、これ小に遇える凡夫下品の三人は、これ悪に遇える凡夫なり」(聖典二・一七六~七/浄全二・八上)と述べ、上品を大乗、中品を小乗、下品を悪に遇った凡夫であるとの見解を示した。すなわち善導は、往生人の九種(九品)の階位の差別は、出会った縁の善悪によるものであり、基本的には九品すべてが仏滅後の五濁悪世の凡夫に他ならないとした。


【参照項目】➡九品古今楷定


【執筆者:吉水岳彦】