江戸時代の僧。生没年不明。廓誉。近江国信楽しがらき(滋賀県甲賀市信楽町)の人。他力念仏を深く信じていた。人々が本願念仏往生の不思議を疑うのを悲しみ、現世利益を示して教化しようとして巌窟に入り、飲食を断ち七日七夜念仏を修した。そこに阿弥陀仏が現れ藕糸ぐうしを授け、この糸をもって衆生を済度して疑念をはらすようにと告げた。自ら名号を書写し、これを見て称名する者の掌からは金や赤・白・青・黄色の糸が生じ、その長短は信の浅深によるといわれている。人々はこの奇瑞によって念仏に帰依した。
【資料】『続近世畸人伝』「僧空蓮」(中公クラシックス、二〇〇六)
【執筆者:田中芳道】