観世音三昧経
提供: 新纂浄土宗大辞典
かんぜおんざんまいきょう/観世音三昧経
一巻。中国で六朝後期に撰述されたと思われる疑偽経典。テキストは京都国立博物館所蔵本(守屋旧蔵本)、名古屋市七寺所蔵本、敦煌写本数点が現存する。内容は、房舎を浄め仏具を飾りつけて散花焼香し、七日七夜にわたって雑念をまじえず本経を読誦することによって、生死輪廻の苦を離れ煩悩の賊を滅し、生生の処に仏辺を離れず、弥勒三会中の初会の上首となり、悪道には堕ちず、浄妙国土に生まれるという五つの果報が得られるとするもの。六朝期の観音信仰を知る上で重要な典籍である。
【所収・参考】牧田諦亮『疑経研究』(京都大学人文科学研究所、一九七六)、牧田諦亮監修・落合俊典編『七寺古逸経典研究叢書』二(『中国撰述経典 其之二』大東出版社、一九九六)
【執筆者:齊藤隆信】