一巻。北宋・慈雲遵式じゅんしき撰。成立年代不詳。遵式の生存年代から一〇世紀末~一一世紀はじめ頃の成立であろう。天竺寺に住した遵式の短篇集『天竺別集』に収載される『阿弥陀経』の序文。簡潔に『阿弥陀経』の科段が示されており、遵式の『阿弥陀経』観がうかがえる。なかでも、『阿弥陀経』の後段を「難を挙げて易に況くらぶ。五濁ごじょくの得道を難と為し、浄土の修行を則ち易とす」(『天竺別集』上、続蔵五七・二二上)と解釈し、修行に難易があると指摘している点は注目される。
【所収】続蔵五七、『楽邦文類』、『浄土神珠』
【執筆者:吉水岳彦】