梵本『阿弥陀経』の「石垣」(Ⓢvedikā)に対する鳩摩羅什の訳語。古代インドでは樹木など信仰対象の周囲に巡らせ、聖と俗の境界とした木製ないし石製の垣があった。サーンチーやアマラーヴァティなどでは、高さ三、四メートルの平柱を環状に掘り立て、各柱を貫石と笠石で固定し、四門を構え、一~三世紀には柱内外を浮彫で飾った。ガンダーラでは好まれず、小ストゥーパの基壇上に置いて本体を囲った例、大ストゥーパに列柱を巡らした例が一世紀に限って若干あるのみである。
【執筆者:桑山正進】