螺(巻き貝)のように巻いた毛髪で、如来が有する三二の特徴である三十二相の一つ毛上向相もうじょうこうそう(『大智度論』四)による頭髪表現のこと。彫刻や絵画で表現する場合、原則的に儀軌に準じて右巻きにあらわされる。二~三世紀頃のガンダーラ地方に見られる如来の頭髪は波状を呈したものが多いのに対し、マトゥラー地方における三世紀頃の後クシャーン朝時代から四~五世紀頃のグプタ様式確立時代の如来像には螺旋状の毛髪表現がうかがえる。日本国内の如来像は、清凉寺式釈迦如来像に見られる頭髪表現等を除き、ほとんどは螺髪で表現される。
【参照項目】➡三十二相
【執筆者:藤田直信】