往生浄土用心
提供: 新纂浄土宗大辞典
2018年3月30日 (金) 06:21時点における192.168.11.48 (トーク)による版
2018年3月30日 (金) 06:21時点における192.168.11.48 (トーク)による版
おうじょうじょうどようじん/往生浄土用心
一巻。『往生用心』ともいう。法然述。信者の質問に対する法然の回答を収録した和語文献。ただし質問は省略されている。『拾遺和語灯録』下、『四十八巻伝』二三所収。外見上は九法語から成るが、第二法語が実質的に二つの法語に分かれることや、『拾遺和語灯録』所収本の道光の評釈からして、一〇法語と見なすべきであるといえる。質問者は不明。ただし法語内容からして、毎日六万遍の念仏に励んでいるものの信心は十分ではなく、最後の質問の頃には重病にかかっていたらしいことが知られる。法然法語には珍しい追善回向の法語など、比較的重要な法語が含まれている。全一〇法語の内容は以下の通り。①日々六万遍念仏すれば上品に生まれる。②宿善がなくても往生できる。③高声念仏すべし。④他言しつつの念仏でも往生できる。⑤一念十念で往生できる嬉しさに百万遍を重ねるのである。⑥追善回向で亡き者を救うことはできるが、還相回向で先亡を教化する方が効果が大きい。⑦信心が不十分なのはよくない。⑧臨終が悪くとも、平生から念仏していれば往生できる。⑨念仏の数より、念仏を続けることが大切。⑩病気治療のためなら肉やニラなどを食してもよい。ただし治療・延命はあくまで念仏申すためのもの。
【所収】聖典四、昭法全
【執筆者:安達俊英】