三三昧
提供: 新纂浄土宗大辞典
さんざんまい/三三昧
三種一組として取りまとめられる三昧のこと。一般的に空(Ⓢśūnyatā)・無相(Ⓢānimitta)・無願(Ⓢapraṇihita、無作とも)のこと。すべての存在は移り変わり(空)、それ故定まった姿形もなく(無相)、従って執着することは何もない(無願)と体得する深い精神統一の状態。この他に、有覚有観・無覚有観・無覚無観といった三昧の取り合わせが知られ、前者は阿含経典や般若経典をはじめ諸経典に幅広く見ることができる。「浄土三部経」でも『無量寿経』には、法蔵比丘が「空・無相・無願の法に住して、作もなく起もなし」(聖典一・二三五/浄全一・一二)というように修行したことや、菩薩が空無相無願三昧により声聞縁覚の地を遠く超越することが説かれる。また、この三三昧は三三摩地、三定、三等持、三空、三解脱門などともいい、浄影寺慧遠『大乗義章』二に、「三解脱門とは、謂く、空と無相と無願となり」(正蔵四四・四八八下)とあり、各々の名が解釈された後、「此の三をば経論には、解脱門と名づけ、また三冶と名づけ、また三空と名づく。義をもって或いはまた説いて三三昧門と為す」(同四八九上)と示されている。
【参考】浄土宗総合研究所編『現代語訳 浄土三部経』(浄土宗、二〇一一)
【参照項目】➡三昧
【執筆者:袖山榮輝】