往生浄土決疑行願二門
提供: 新纂浄土宗大辞典
おうじょうじょうどけつぎぎょうがんにもん/往生浄土決疑行願二門
一巻。宋・遵式撰。天禧元年(一〇一七)の成立。本書は遵式の浄土教を知る上で、『往生浄土懺願儀』と並ぶ重要な書である。その題目に示すように、浄土教門について「決疑門」と「行願門」の二門を用いて解釈している。「決疑門」に①疑師、②疑法、③疑自の三を配立する。これは釈尊一代仏教の中に小乗不了義、大乗了義があり、大乗のなかにもまた了不了があるが、いま浄土教は即ち大乗了義中の法であるとする。次の「行願門」には四門を説く。即ち①礼懺門、②十念門、③繫縁門、④衆福門である。礼懺門は浄除業障のための礼仏懺悔を説き、十念門は晨朝十念の法を明かすが、遵式は一称一念ではなく、一呼吸を尽くすことを一念としている。繫縁門は常に仏浄土を憶念すべきことを説き、衆福門は五事修福によって、往生の業事を助成する旨を明かす。この中、他の三門はともかく、十念門だけは決して廃してはならないとする。
【所収】正蔵四七、続蔵六一
【執筆者:小林順彦】